年金・老後

定年楽園への扉

資格さえあれば…定年起業でありがちな3つの勘違い 経済コラムニスト 大江英樹

2018/6/14

次にありがちなのは「人脈づくりの勘違い」です。起業支援の会社などが主催する「ビジネス交流会」のようなイベントに出て名刺を配りまくれば、人脈ができるのではないかと考えがちですが、それは大きな勘違いです。

■名刺を配るだけでは仕事はこない

会社を定年退職した人は何も肩書がありませんから、いってみればただの人です。そんな人が人脈をつくるためには相手に何かメリットになることを具体的に提示しなくてはなりません。それができなければ信用されることもないし、仕事だってくるわけはありません。

もっといえば、起業当初は「ギブアンドテイク」ではなく、「ギブオンリー」の姿勢で行くべきなのです。最初からビジネスの見返りを期待するのではなく、相手にメリットを与え続けて顧客になってもらうようにすることが大切です。

ところが、ビジネス交流会はテイクしたい人ばかりが集まりがちですから、結局時間と名刺の無駄づかいということになりがちです。私自身も起業前後に何度かこういう交流会に出かけましたが、今日に至るまで仕事を得られたことはただの一度もありません。

最後は「起業にお金をかけてしまう」パターンです。これもありがちな間違いといえるでしょう。定年退職した後に小さくても自分の会社を設立して一国一城のあるじになるのはうれしいものです。ついつい立派な事務所を構えたり、高いお金を払って会社のロゴをつくってもらったりと、いろんなことにお金を使いがちになります。

そのお金がビジネスにつながる合理的な投資であればいいのですが、多くの場合、見えであったり、体裁をよくするためであったりします。特に大企業に勤めていた人の中には、定年起業で不要なお金をかけるパターンが多いようです。

■借金はご法度、背伸びはしない

しかしながら、こうしたお金のかけ方は実に無駄です。ましてや背伸びして多額の借金をするのは定年起業にはご法度といっていいでしょう。定年起業の最大のメリットは退職金や年金があるうえ、子どもも大きくなって教育費がかからないので、自分で何とか食べていける範囲で稼げばいいという気楽さです。だからこそ、リスクが小さいのですが、そこで借金をしてしまったらメリットが台なしになります。

人生100年時代といわれる中、定年退職後に起業する人はますます増えていくでしょう。ただ、会社員時代と同じ発想でやろうとするとうまくいかないことが出てきます。決して無理をせず、自分のできる範囲でゆっくりと始めていくのがベストといえます。

「定年楽園への扉」は隔週木曜更新です。次回は6月28日付の予定です。
大江英樹
野村証券で確定拠出年金加入者40万人以上の投資教育に携わる。退職後の2012年にオフィス・リベルタスを設立。著書に「定年男子 定年女子 45歳から始める『金持ち老後』入門!」(共著、日経BP)など。http://www.officelibertas.co.jp/

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