2018/6/15

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デジタル遺品の専門家らが集まったシンポジウム。活発な議論が続いた

サポートサービス、片付け業者も開始

シニア層のインターネット利用は増えている。総務省の「通信利用動向調査」(17年)によれば、利用している人の割合は若い世代に比べるとまだ少ないが、60代では72.2%と4人のうち3人に上り、70代は45.3%と約半分に達している。年によって波はあるが、5年前や10年前と比べると増加傾向は明らか。利用者がデジタル機器の中に様々なデータを残していることが想像できる。また、利用状況を端末別にみると、60代ではパソコンが45.2%、スマホが37.2%、70代では26.9%、14.6%となっている。年下の世代と比べるとスマホよりパソコンが多いのが特徴だ。

最近では亡くなった人が住んでいた住居の片付けの現場で、遺族からパソコンのロック解除や中にあるデータの消去などを頼まれるケースも増えているようだ。遺品・生前整理のリリーフ(兵庫県西宮市)は今年2月に日本PCサービスと提携し「デジタル遺品サポートサービス」を始めた。「これまでは対応できないことが多く、データ消去を頼まれて機器本体を壊すこともあった。パスワードが分からず何年も放置していたり、中には有料のサービスを継続使用していたりといった事例もあった」とリリーフの赤沢知宣おかたづけ事業部長は話す。依頼があれば日本PCサービスの担当者が駆けつける。同社は提携前の16年からデジタル遺品専門のサービスを始めており、「パスワード解除など年間に130件程度処理してきた」という。

連絡先や資産状況のリスト作っても…

デジタル遺品は、パソコンやスマホの中に存在するオフラインデータとネットサービスのアカウントなどオンラインデータに分けられる。前者は写真データや各種の文書、後者はネット金融機関との取引やブログ、SNS(交流サイト)、ホームページが代表例だ。家財や衣類、宝飾品といったリアルな遺品と違ってデジタル環境を通じてしか実態を把握することができない。「本人以外は見えにくく、入り口のロックが強固なのが特徴。しかもその中には家族に知らせておきたいものや隠しておきたいもの、どうでもよいものが混在している」とデジタル遺品研究会ルクシーの古田雄介代表理事は説明する。そのため、家族が負債や財産、重要情報に気付かなかったり、気付いても手出しできなかったりする。

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