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上昇続くエンゲル係数 広がる「食格差」に打開策は?

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消費に占める食費の割合を示すエンゲル係数がここ数年、上昇する傾向にあり、昨年も高止まりしました。原因を巡って議論が起きています。

19世紀のドイツの統計学者、エルンスト・エンゲルはベルギーの家計を調べ、家計の所得水準が低いほど生活費に占める食費の割合が高いという傾向を発見しました。所得水準が低くても生命を維持するために一定以上の食費は必要なためで、エンゲルの法則と呼ばれています。

日本のエンゲル係数(2人以上世帯)をみると、高度成長期の1960年代は30%台。以来、低下傾向が続き、2005年には22.9%となりました。06年に上昇傾向に転じた後、14年以降に急上昇し、一昨年は25.8%、昨年は25.7%でした。

今年初めの国会で野党議員は最近のデータを示し、「国民の生活が苦しくなっている」と政府・与党を批判しました。一方、安倍晋三首相は物価変動に加え、食生活や生活スタイルの変化が原因と反論しました。生活スタイルの変化とは外食や調理品への出費の増加を指します。

みずほ証券の末広徹シニアマーケットエコノミストは13年から17年までの上昇幅(2.1ポイント)を要因別に分解しました。消費増税による食品価格の上昇分が0.6ポイント、消費税以外の要因で食品価格が上昇した分が1.5ポイント、物価変動の影響を除く食費の減少分がマイナス0.3ポイント、消費支出の減少分が0.3ポイントでした。末広氏は「生活スタイルの変化を示すデータはない。安倍政権の経済政策、アベノミクスの影響で円安が進み、食品の輸入物価が上昇した効果が大きい」と指摘しています。

ニッセイ基礎研究所の櫨浩一専務理事は06年以降の上昇は、世帯主の高齢化に伴う収入の減少や、調理品や外食への出費の増加が原因で、14年以降の急上昇は、やはり食品の価格上昇が原因とみています。国民の生活が苦しくなったかどうかはさておき、エコノミストによる要因の分析はほぼ一致しています。

所得の水準によるエンゲル係数の差も広がっています。昨年は、所得が最も低い階層の係数が30.6%、最も高い階層は22.1%でした。首都大学東京の阿部彩教授は所得階層による食費の差にも注目しています。年間の消費が1500万円でエンゲル係数が20%、消費が150万円で係数が25%の世帯を典型例として挙げ、後者の食費は前者の8分の1にとどまり、家計の「食格差」が大きくなっていると問題を提起しています。

阿部氏は「食費を減らす低所得層が増え、子どもの食事の質が低下している。親の所得格差は子どもの食格差を引き起こす」と心配しています。

阿部彩・首都大学東京教授「子供の食格差是正、給食の役割大きい」

日本のエンゲル係数は2000年代半ばから上昇し、低所得層ほど食費の負担が重くなる傾向が強まっています。その影響を受け、子どもの間に「食の格差」が生まれていると指摘する首都大学東京の阿部彩教授に、現状と対策を聞きました。

――2017年のエンゲル係数は、最も所得が高い階層で22.1%、低所得層で30.6%と開きがあります。このデータをどう解釈すればよいのでしょうか。

「所得が低い階層はエンゲル係数が高く、食費の負担が重くなっています。支出を節約するために、まず食費をカットしているという声をよく聞きます。自治体などが実施している調査でも、食費が不足している家計の実態が明らかになっています。例えば、東京都の17年の調査では、過去1年間に金銭的な理由で食料が買えなかった経験がある子育て世帯は、小学5年生がいる世帯では9.7%でした。大阪府の17年の調査では、おおむね半年の間に経済的な理由で『食費を切り詰めた』と回答した保護者が、小学5年生がいる保護者の37.4%に達しました。『理髪店・美容院に行く回数を減らした』や『スマートフォンへの切り替え・利用を断念した』よりも高い結果でした」

――食費を切り詰める前に別の出費を減らすことはできないのでしょうか。

「子どもを公立の学校に通わせたくても、受験競争が厳しく、やむなく私立の学校に通わせている世帯は少なくありません。教育費の負担が重いうえに家賃や携帯電話代もカットできず、もっともカットしやすいのは食費だと判断しているのです」

――食費をカットしている家庭の食事情はどうなっていますか。

「親子ともに食の質が下がっている世帯が増えていますが、子どもにだけは質が高い食を与えようと努力している親もいます。親が正しい知識を持てば子どもの食の質が向上すると主張する人もいますが、それが当てはまる親は一部でしょう。知識はあるけれども経済的な理由で子どもに質の高い食事を提供できない家庭が多いのです」

――新潟県立大学の村山伸子教授らとの共編著『子どもの貧困と食格差』(18年4月、大月書店)では、世帯の経済的な要因と子どもの食事との関連を明らかにする独自の研究成果を紹介しています。どんな結果が出たのでしょうか。

「調査期間は2013年10~12月、対象は東日本4県6市町村の小学校19校の5年生1447人で、世帯収入の回答があった924人を解析しました。世帯収入が低い子どもは、そうでない子どもに比べて朝食抜きになりがちで、食事の内容が主食に偏り、野菜やたんぱく質源となる食品の摂取量が少なく、インスタントや加工品などの簡単な食事が多いことが分かりました」

――打開策はありますか。

「厳しい状況にある子どもたちの食生活にとって大きな役割を担っているのは、やはり食を直接、子どもに届けられる学校給食です。公立中学校の完全給食の実施率が上昇しているのはよい傾向ですが、地域による差はなお大きいのが実情です。また、夜間の定時制高校での実施率は逆に下がっています。定時制高校は、勤労学生の夕食を支援するために給食を実施してきた歴史があります。今日でも、給食を実施する意義は大きいはずです」(編集委員 前田裕之)

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