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ロボ手術、子宮体がんも保険適用 出血抑え入院も短期

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2018/6/25

写真はイメージ=PIXTA
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 2018年4月から、子宮体がんなど新たに12の手術について、「ロボット手術」が健康保険で受けられるようになった。

医師はコックピット(サージョンコンソール、右)に座り、腹腔鏡が映し出す拡大映像を見ながら4本のロボットアームを動かして手術を行う。(写真左:インテュイティブサージカル、写真右:東京医科大学)

 「手術支援ロボットの『ダビンチ』を使うと、骨盤の内側といった狭い場所でも腹腔(ふくくう)鏡や鉗子(かんし)などの手術器具を操作しやすく、安全で精密な手術ができる。米国では既に子宮がん手術の大半がダビンチを使って行われていて、日本でも多くの病院で使われることになりそうだ」。ロボット手術に詳しい東京医科大学産科婦人科学教室の井坂恵一特任教授はこう話す。

 ダビンチを使う手術では、医師はコックピットのような装置に座って手術器具を操作する。患者のおなかに5カ所小さな穴を開け、ロボットのアームに取り付けた腹腔鏡と臓器などを切除し取り出すための鉗子3本を挿入。腹腔鏡が映し出す体内の映像を見ながら、センサーをはめた指を動かす。するとロボットのアームが同じように動く。

 画像は拡大できるため、最小で手の動きの5分の1という細かい作業が可能になる。井坂特任教授は、「患部を正確に切除できるし、出血量は開腹手術の1割強で痛みも少ない。入院期間も開腹より短い1週間程度で済む」とメリットを強調する。

 加えて、「開腹手術と違って腸を長時間露出させないので、腸閉塞などの合併症が起こりにくいのも利点。操作法を習う必要はあるが、開腹手術の経験を積んだ医師ならすぐ習熟できるだろう」と井坂特任教授は話す。

(イラスト:三弓素青)

 ちなみにロボット手術の手術料は70万2000円。開腹手術の62万円より高いが、腹腔鏡だけで行う手術と同額だ。自己負担額はこの1~3割で、別に入院費などがかかるが、健康保険では収入・所得に応じて負担の上限が決まっているため、実際の負担額は、普通5万8000~9万円程度になる。

 今回、筋腫や内膜症などの子宮を周囲の組織などを含めて全摘し、膣から取り出す腹腔鏡手術にもダビンチの使用が認められた。一方、子宮頸がん手術への使用はまだ認められていない。井坂特任教授は「血管や神経が多く難易度が高い子宮頸がんの腹腔鏡手術も、ロボットで支援すれば安全に行える。実績を積み重ねて、次の診療報酬改定で保険が適用されるよう働きかけていく」と話している。

井坂恵一さん
 東京医科大学産科婦人科学教室特任教授。1976年東京医科大学卒業。スイス・ジュネーブ大学や英ロンドン大学への留学などを経て、2003年に東京医科大学産科婦人科学教室の主任教授に就任。日本におけるロボット支援手術の第一人者で日本ロボット外科学会の理事も務める。2017年特任教授に。

(ライター 井上俊明)

[日経ヘルス2018年6月号の記事を再構成]

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著者 : 日経ヘルス編集部
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