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石田博基 BASFジャパン社長

石田博基 BASFジャパン社長

BASFジャパン(東京・港)で初の日本人生え抜きトップに就いた石田博基社長。本国ドイツを中心とした強いリーダーシップに基づくグローバル経営の必要性を訴えつつ、「日本のような成熟市場でさらに成長していくためには別のやり方も必要」と説く。BASFジャパンの経営をどんな方向に導こうとしているのか。また、自身に続く日本人リーダーをどう育成するのか。

一貫したガバナンスがBASF流

通算10年に及ぶ海外駐在の後、副社長として6年間、日本法人でマネジメントに携わった。石田氏にBASF流経営の本質について聞くと、「ほぼ世界中で事業を展開しながらも、ドイツを中心としたガバナンスが保たれている」という答えが返ってきた。

象徴するキーワードが「フェアブント」。ドイツ語で「統合・つながり」という意味だ。もともとは生産工程で、廃熱をエネルギーとして再利用したり、副産物を他の製品用に活用したりするなど、一体的な運用で効率を高めることを指す。さらに生産だけでなく、技術や知識の共有、顧客や社員同士のかかわり方などマネジメント全般にも使われる。

要は、ドイツ本国の指示が世界の隅々まで迅速に行き渡るということだ。世界中から情報を集め、スピーディーに物事を決めて実行に移す。最近、日本企業による海外企業のM&A(合併・買収)が活発になっているが、統合後の現地子会社をうまくコントロールできずに苦労するケースも多い。「当社のような本国を中心としたグローバル経営は、グローバル化を目指す日本企業の良い参考になるのでは?」と石田氏は話す。

とはいえ、強みは弱みに転じる可能性もはらむ。1つはドイツ本国で何を決め、各地の拠点では何を決めるのか、明確にしておかなければ、本国で誤った決断をしてしまったり、かえって時間をロスしてしまったりする点だ。「重要なのは各拠点が本国に正確な情報を伝え、きちんと理解してもらうこと」。日本法人からも、日本の顧客のニーズや日本の技術研究の成果を積極的に発信していくつもりだ。

もう1つは、大量の製品を効率よくつくるのに適するフェアブント方式が、スペシャリティー領域では必ずしも競争力を発揮できるとは限らないことだ。「特に日本市場では今後、規模は見込めないかわりに、極めて高い品質が求められる。このニーズに応えるビジネスモデルをどうつくるかが我々にとって最大の課題となる」

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