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飲食店の予約を無断キャンセル 客はいくら払うべき? 弁護士 志賀剛一

2018/6/7

PIXTA=写真はイメージ
Case:34 レストランのオーナーです。先日、ネットで店を知ったという人から電話があり、1人当たり5000円のコース料理で20人の予約を受けました。店はそれほど大きくないので20人だと貸し切りになります。幹事の名前と携帯電話の番号を控え、「前日にもう一度、連絡します」と伝えました。店の公式サイトには「当日キャンセルは代金の100%をいただきます」と明記していました。しかし、予約日の前日も当日も何度か電話したのにつながりません。とりあえず20人分の食材と料理を用意しましたが、時間になっても誰も来ませんでした。遅れてくるかもしれないので、ほかの客は入れられません。店としては大損害で、賠償請求は可能でしょうか。

■店と客の「契約」は成立しているか

 予約していたはずの客が連絡もなく誰も来ない事態を「ノーショー(No show)」ともいうようで、ネットでもしばしば問題になっていますね。もちろん、店側にとっては死活問題でしょう。

 レストランなどの飲食店で取り交わされる契約は、店と客との売買契約であると理解して間違いはありません。業態を細かく分析すると、客の注文に応じて食材を用いて料理を作り、これを提供しているので、講学上は民法の「請負」と「売買」が合体した「製作物供給契約」に該当すると思いますが、ビールやワインなどは店が仕入れたものがそのまま有償で提供されるだけなので売買契約と言ってよいでしょう。

 ここで重要なのは契約の名称ではなく、「契約は成立しているか。その場合、契約当事者はどのような義務を負うか」になります。相談のケースでは客が来店する日時を指定し、メニューの中から5000円のコースを20人分申し込み、店側がこの申し込みを承諾しているので契約は成立していると解されます。

 この契約により、客側はその日時に来店して飲食をし、合意した料金を支払う義務が生じます。一方、店側にはその日時に合意された人数分の席を用意し、料理やドリンクを提供する義務が発生しています。

■通常は店側が損害額を立証

 先日、筆者は友人9人と飲食店に行きました。その日は10人でコースを予約していましたが、直前に1人が来られなくなりました。店と交渉しましたが「当日のキャンセルはできない」と言われ、我々は9人で10人分の料金を負担しました。

 この結論に誰も異論はないと思います。予約したメンバーのうち誰かが行っていればこうしてキャンセル料を負担するのに、連絡なく誰も行かない不誠実な客が損害を免れるというのは理屈に合いません。

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