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禁止の会社でも副業は可能 社員が守るべき4ルール

日経DUAL

2018/6/7

例えば、運送会社の運転手が年に数回、貨物運送のアルバイトを副業として行ったため解雇されたという事例があります。その方はそれほど頻繁には副業をしていたわけではなく、本業に影響がないため解雇は無効である、と判断されています。また、大学の先生が副業で通訳をやっていたというケースもあります。この場合も、学校の授業に影響を及ぼすものではない、という判断が下されています。また、検討会の資料には含まれていませんが、タクシー運転手が副業で新聞配達を行っていた、という事案も解雇が無効とされていますね。

■こんな副業はやってはいけない

―― とはいえ、どのような場合でも、副業は問題ない、というわけではないのですよね?

荒井 そうです。「副業は何でもやっていい」ということではもちろんなく、一定の範囲では禁止されています。ルールは主に以下の4つです。

まず、「本業に支障をきたさない」。例えば、本業の終業後、副業として長時間働けば、翌朝、疲労が蓄積し、本業に支障が出ることが考えられます。そういう形での副業は認められていないと言われています。

2つ目が、「守秘義務を守る」。本業のノウハウや秘密情報、顧客情報などを使って副業をすることも許されません。

3つ目が、「企業秩序を維持する」。企業の秩序に影響を与えることはしてはいけません。やや抽象的なルールですので、ケース・バイ・ケースで判断せざるをえませんが、例えば、本業の社名を出して、本業の勤務先のブランド力を使って副業をすることは、場合によっては企業の秩序を乱したり、企業の名誉を侵害したりしますから認められません。

4つ目が、「競業避止義務を守る」。本業がライバル企業としのぎを削る競争をしている最中に、本業の社員がライバル企業にも労務を提供するようなことも使用者の正当な利益を不当に害する行為ですので、禁止されます。

その他、色々な場面が考えられるため、一概にこういう類型であるとは言えませんが、基本的には「会社と労働者の間の信頼関係を傷つける副業」というのは認められません。「副業=信頼関係を傷つける」というわけではありませんが、副業することで本業に迷惑を掛けるようなことをしてはいけません。

―― 先ほどの「タクシー運転手が新聞配達を行った副業」の事例では、どちらの職業も、本業に支障をきたすのでは、とも思えるのですが……。

荒井 この件では、朝7時30分から深夜1時30分までの18時間を隔日勤務するタクシー運転手が、午前4時30分に起床後6時30分頃まで約2時間程度新聞配達を行っていた、という事案ですが、本業に支障をきたすおそれがあるとは認定されませんでした。もっとも、副業の拘束時間や頻度、業種にもよってきますし、対象となる労働者の年齢や体力などにもよってきます。この事例でも、実際に本業に支障が出ていたことやその恐れをしっかりと立証できれば解雇が認められた可能性もあります。ケース・バイ・ケースで判断するしかないと思います。

■行政が副業を促進する理由とは

―― 副業解禁の流れがありますが、今、どういう状況で、今後どのようになっていくのでしょうか。

荒井 先述の厚生労働省の検討会は、「副業をいかに促進していくか」ということで立ち上がったものでもあり、副業促進が行政としてのスタンスです。その中では「副業を一律に禁止することはできない」ということを改めて確認し、それを受け、厚労省がホームページ等で掲示している「モデル就業規則」に書かれていた「許可なく他の会社等の業務に従事してはいけない」という規定については、これを削除し、「労働者は、勤務時間外において、他の会社等の業務に従事することができる」という規定に直しています。そのうえで、先ほど説明した4つの事象のような副業については禁止または制限することができる、という規定に改めています。

―― そもそも行政は今、なぜ副業を促進しようとしているのでしょうか?

荒井 色々な理由があります。企業にも労働者にも社会にもメリットがあると考えられています。

社会的現象で言うと、日本の労働人口がこれからどんどん減っていくため、1社で従業員を囲い込むようなスタンスでいくと、この労働力不足に拍車がかかります。労働力をシェアリングしていくという発想が、社会の観点からのメリットです。また、オープンイノベーションや起業の手段、都市部の人材を地方でも活かすということも指摘されています。

企業にとっても、労働者に自社内で行ってもらう仕事にはどうしても限りがあるため、他社で働いて色々なノウハウや経験を得てもらい、それをまた本業で生かしてもらうというメリットがあります。

労働者にとっても、自らのキャリアについて、副業で追求することができるというメリットが挙げられます。特に、日本の企業では自分の「ジョブ」というものを選べない雇用慣行になっていることが多く、自分が自主的にキャリアを選択するということが難しい環境にあります。したがって、自分が「こういうキャリアを築きたい」「こういう使命感のために仕事をしたい」「社会の役に立ちたい」「地元の役に立ちたい」という思いがあったとしても、必ずしもそれを本業で達成することができるわけではないのです。副業を可能にすることで、そういった使命感や地元への貢献を可能にする環境を整えていくことができるといったメリットがあると言えます。

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