こだわりの逸品

羽田氏が愛した元祖クールビズ 老舗が込めた創意工夫

2018/6/9

省エネルックを着る大平首相(右)と音頭とり役の江崎真澄通産相(1979年6月6日、首相官邸)

 今や日本の夏の装いとして、すっかり定着した感のある「クールビズ」。2005年に始まった「地球環境対策の一環としての夏の軽装運動」だが、今から遡ること約40年前、「元祖クールビズ」とも呼ぶべき取り組みがあったことをご記憶だろうか。「省エネルギールック」。そう、あの半袖スーツのことだ。特徴的なフォルムもあって、いつしか忘れ去られていったが、そこに込められた思いには熱いものがあった。




 省エネルックがお目見えしたのは1979年。第2次石油ショックを受け、当時の大平正芳内閣が提唱したのが始まりだ。省エネ対策として、政官が盛んにPRしたものの、定着には至らなかった。そうしたなかにあって、後に首相となった羽田孜氏(1935~2017年)がこだわり、愛用し続けていたことをご記憶の方も少なくないだろう。

カインドウェア社内に唯一残る半袖スーツのサンプルと渡辺会長。5つボタンの立ち襟タイプ

 その舞台裏をよく知るのが、1894年(明治27年)創業の老舗メーカー、カインドウェア(東京・千代田)の渡辺喜雄会長だ。

 渡辺氏が羽田氏のために省エネスーツを仕立てるようになったのは1991年、羽田氏が宮沢喜一内閣で蔵相に就任してからという。「羽田氏とは親戚関係にあった」というのがきっかけだ。

 それ以前から、羽田氏は半袖スーツを愛用していた。「熱烈な支持者でもあった地元の洋品店店主からプレゼントされた」(渡辺氏)というのが理由だった。

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