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細田守監督新作『未来のミライ』 家族を描く面白さ

日経エンタテインメント!

2018/6/13

 今夏に公開されるアニメーション映画で最も注目されているのが細田守監督の3年ぶりの新作『未来のミライ』(7月20日公開)だ。『サマーウォーズ』(09年)で親戚×インターネット、『おおかみこどもの雨と雪』(12年)で母親と子どもの13年の物語、『バケモノの子』(15年)で血のつながらない父(バケモノ)&少年と、家族の感動エンタテインメント大作を描いてきた細田監督。完全オリジナルとなる『未来のミライ』では何を描くのか。ロングインタビューに答えてくれた。

1967年、富山県出身。東映動画(現・東映アニメーション)退社後に手掛けた『時をかける少女』(06年)がロングラン。以降、『サマーウォーズ』(09年)など3年おきに夏のアニメーション映画を発表。2011年スタジオ地図を設立(写真:中川真理子)

 3年ぶりとなる新作『未来のミライ』は、兄妹×未来がモチーフ。主人公は甘えん坊の4歳児「くんちゃん」。妹が生まれて、今まで自分に向けられていた両親の愛情を一気に奪われてしまう。そんなくんちゃんの元に、突然、大きくなった妹のミライちゃんが未来からやってくる。見たことのない世界、初めての大冒険、たくさんの出会いを、ピュアな子どもの視点で見つめ、どこにでもある家族の姿を通して人生の大きな命の循環を描く、という壮大なテーマを持つ物語だ。

 本作も監督の完全オリジナルだが、どのように物語を構築していったのか。

■映画になりうる人生の面白さ

 「うちの上の子は、下の子が生まれたときに嫉妬がすごかったんです。親は生まれたての赤ちゃんに愛情を向けるから、それこそもう、ハムレットばりに苦悩して。そんな上の子を見て、『ああ、愛を失った人間というのはこんなふうになるのか、人間というのは愛がないと生きていけないんだな』と。

 一方、僕が知らなかった兄弟のいる人生を、上の子は知っている。それが一人っ子の自分としては、ちょっとうらやましくもあった。そういうことがとても面白くて。上の子を通して追体験していたわけですが、映画には、そもそもそういうところがあります。どんな映画も、自分じゃない人生を生きる面白味がある。有名人とかすごい事件に遭遇した人生だけが面白いのではなく、なんでもないすぐ横のビルに居る人の人生も、実はすごく面白かったりするんです。そういう点で、この状況は映画になりうるすごく面白い追体験だったわけです。

 なおかつ、いろいろな人に『兄弟ってどうだった?』と聞くと、例えば男兄弟の人は女兄弟がよく分からないと言う。兄弟がいても様々なシチュエーションがあって、そうでない人生はなかなか知り得ません。一人っ子のくせに兄弟の映画を作っているのは、自分が知らない人生を求めたいからなんですよ」

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