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米長期金利、どこまで上昇 逆風下の投信運用法 QUICK資産運用研究所 北澤千秋

2018/6/6

写真はイメージ=123RF

 米国長期金利の年初からの急ピッチな上昇は、新興国市場の動揺などを通じて多くの投資信託の運用成績にダメージを与えた。足元では米長期金利の上昇は一服気味だが、長い目でみれば上昇局面はまだ半ばだろう。世界のマネーの流れを左右する米金利上昇に個人はどう対応したらいいのか。

■高分配の投信、ハイリスク運用が裏目に

 年初に2%台前半だった米長期金利は4月下旬に3%を突破した。原油価格の上昇やトランプ政権による大型減税、歳出上限引き上げなどの財政刺激策が背景だ。足元では市場の関心がイタリアの政治・財政不安などに向かい、米長期金利は3%を下回っているが、米の利上げは年内は続くとの見方が多く、先高観は根強い。

 この間の米長期金利の上昇は、投信の運用成績にどんな傷痕を残したのか。純資産総額が100億円以上の追加型投信を対象に、過去6カ月のリターンが低かったファンドをランキングした(表1)。

 運用成績が下位のファンドは大半が毎月分配型で、いずれも高配当株式やハイイールド債、上場不動産投信(REIT)、新興国債券など、相対的に利回り水準が高い資産で運用するタイプだった。さらに、実質的に高金利通貨(ブラジルレアル)建てとして、運用益の上積みを狙う通貨選択型も多かった。

 この半年ほどは米長期金利の上昇をきっかけに「高利回りもの」の資産価格が下がり、高金利通貨も急落するという、通貨選択型にとっては泣きっ面に蜂のような相場。米金利高により、新興国市場に流れ込んでいたマネーが逆流し、高額の分配金をひねり出すためのハイリスク運用は暗転した。投資家からすれば「高い分配金利回りに目がくらんで、複雑な仕組みの高リスク投信を持ち続けてはいけない」という教訓を示すようなランキングとなった。

■米金利上昇は資産運用には厳しい環境

 では、もっと長期でみると米長期金利の動向と投信の運用成績にはどんな関係があるのか。過去20年の米長期金利とQUICK投信分類平均(同じ分類の投信の値動きを平均化した指数)の相関係数を調べてみた(表2)。

 相関係数は数値がプラスなら2つのデータは同じ方向の動き(正の相関)、マイナスなら逆方向の動き(逆相関)をするということだ。表中の数値がマイナスなのは、長期金利とそれぞれの分類平均が逆相関だからで、マイナス値が大きいほど、米長期金利が上がると分類平均は下落する傾向を示している。

 主な投信分類平均の中で、先進国の債券以外でマイナス値が大きかったのは、新興国の債券、株式だった。米長期金利の上昇とそれに伴うドル高は、新興国市場からの資金流出につながるからだ。

 ただ、それ以上に注目したいのは、すべての分類平均が米長期金利とは逆相関で、金利が上がると分類平均は大なり小なり下落する傾向にある点だ。過去のデータを見る限り、米長期金利の上昇局面は、資産運用にとっては逆風が吹く厳しい市場環境だといえる。

 そんなときに個人はどう立ち回ればよいのだろう。独立系運用アドバイザーの吉井崇裕氏は「今は長く続いた世界的な超低金利環境の転換期。しばらく様子見するのも有力な選択肢だ」と主張する。

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