障害年金、精神疾患もカバー 初診日の年金資格が重要

障害の重さは原則、「障害認定日」の状態で判断される。障害認定日とは、初診日から1年6カ月を経過した日、もしくはそれ以前に症状が固定した日だ。重さによって1~3級(3級は障害厚生年金のみ)に分かれ、受給額が異なる。

日本年金機構はホームページに1級なら「両眼の視力の和が矯正後で0.04以下」「両手に著しい障害」などの例を挙げている。ただし精神疾患や内臓疾患など他の傷病でも、生活や仕事が同様に制限されれば同じ等級になる。表Bのように「1級はベッドの周辺で1日を過ごす」などのイメージでつかむといい。自治体が発行する「身体障害者手帳」とは基準が異なる。

認定は年金機構による書類審査で医師の診断書を基にする。「医師の前で元気そうにしたことが診断書に反映されるケースも多い。労働や生活が不自由な実態をきちんと書いてもらうことが大事」(佐々木氏)

主治医が障害年金の請求に不慣れで、診断書の状態を軽く書いてしまうこともある。「請求前に診断書に目を通して確認したい」(相川氏)。患者や家族の「病歴・就労状況等申立書」なども参考にされる。

受給額は障害基礎年金の2級なら、老齢基礎年金の満額と同額。18年度は年77万9300円で1級はその1.25倍。18歳までの子がいれば加算される。障害厚生年金は勤続年数(最低25年で計算)や収入によって変わる。これに一定条件で配偶者の加算がつく。

不服なら再審査の請求も可能

受給の可否や等級は、判断する年金機構の担当者によって異なることがある。障害年金に限らず遺族年金や健康保険の傷病手当金など、様々な社会保険の裁定に不満がある場合は「社会保険審査制度」を利用できる(図C)。

年金機構の最初の判断に不満なら3カ月以内に請求し、社会保険審査官による審査を受けられる。それでも不満なら、社会保険審査会に2カ月以内に再請求する。審査会では実に7割程度が障害年金案件だ。

容認は毎年1割前後だが、請求後、当初の判断が違っていたとして年金機構などが判断を変更した結果、請求を取り下げるケースもある。審査会では容認と取り下げを合わせて2割以上が認められる年度も珍しくない。

4月に社会保険審査会を傍聴すると、40代の母親が長男の知的障害の実情を懸命に訴えていた。参考意見を述べる参与から「この状態なら1級だろう」とする声が相次ぐと、母親の表情が少し緩んだ。

障害認定の手続きや再審査請求は専門家の助けを借りるのも手だ。NPO法人「障害年金支援ネットワーク」(電話0120・956・119)では無料で電話相談が受けられ、必要なら全国の障害年金に詳しい社労士を紹介してくれる。

(編集委員 田村正之)

[日本経済新聞朝刊2018年6月2日付]

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