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新ショウガ 今夏は脇役を返上、漬け汁のレシピが人気

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NIKKEI STYLE

スーパーの野菜売り場に新ショウガが並び始める季節となった。

私たちが通年で見かける「ショウガ」、正しくはこれを「ヒネショウガ」という。ヒネショウガは冷ややっこや天ぷらなどの薬味にしたり、煮魚などの臭み消しに使ったり、豚のショウガ焼きにしたりと、料理の名脇役。見た目も茶色い皮に包まれ、ゴツゴツとしていて硬く、香りも強い。クセの強いベテラン俳優といった感じだ。

対して新ショウガは色も白くて、みずみずしい。先端がほのかに赤く染まっていてかわいらしく、こちらは新人ながらも実力派の女優といったところか。新ショウガは甘酢漬けにすると淡いピンクに染まり、すしや焼き魚などに添えられ、脇役ながらも料理全体に華やかさが加わる。

いや、もはや脇役ではないかもしれない。「実はすしよりも新ショウガの甘酢漬けのほうが好き!」という人を私は複数知っている。彼らは普通のすし店だと何回もおかわりするのが恥ずかしいので、回転ずしのほうが好きと言う。そして皿に山盛りにしてうれしそうに食べる。

料理の添え物だけじゃもったいないとばかりに、新ショウガや甘酢漬けをメインにした料理のレシピもネットで目にするようになった。なんだか新ショウガは最近、脇役ならぬ主役級の存在感を放ってきているように思う。

さて、新ショウガとはいったい何か? ショウガはジャガイモやサツマイモが「種イモ」で増えていくように、畑に「種ショウガ」を植えることで増えていく。種ショウガが成長すると、ここからコブのようなものができてくる。それが新ショウガである。

実は新ショウガには2種類あり、1つは初夏から夏にかけて種ショウガのコブが小さいうちに収穫したもの。もう1つは秋になってヒネショウガとして出荷する用に収穫したものである。後者を2カ月程度貯蔵させると、水分が抜け表面が硬くなり、繊維質も増え、あの渋い脇役のヒネショウガとなる。

2つの新ショウガの違いは収穫時期だけではなく、色にもある。秋に収穫され貯蔵せずに出荷される「秋の新ショウガ」にはあの薄い赤色の部分がない。つまり、ピンクに色づく新ショウガの甘酢漬けを作れるのは今のシーズンだけ。

新ショウガの甘酢漬けの作り方は実に簡単だ。まず赤い部分を残してスプーンなどで薄い皮をこそげとり、スライサーなどで薄切りにする。30分ほど水にさらした後、サッと熱湯にくぐらせて冷ます。あとは酢と砂糖と塩で作った甘酢に漬けるだけだ。冷蔵庫で2日ほど寝かせたら食べられる。

私は過去にこの「水にさらす」「熱湯をかける」というプロセスを省略して作ったことがあった。ショウガには身体にいい成分が含まれているというので、少しでもその成分を逃すまいとしたためだが、これが大失敗。

この方法だと辛みが強くておいしくないし、きれいなピンク色にならない。健康よりもおいしさを優先する人は昔ながらのレシピで作ることをおススメする。

「ガリ」という名前でも呼ばれ、これはすし飯を「シャリ」、お茶を「アガリ」と呼ぶ、すし店の符丁のひとつ。つまり、店の仲間うちで通じる言葉のひとつだったが、いまや一般名詞となっている。

その名の由来はショウガを噛(か)むとき、あるいは包丁で薄く切るときに「ガリガリ」と音がするからとか。意外と単純な理由でちょっと拍子抜けである。

すしに添えられる理由は、口の中がリフレッシュされるためその都度すしがおいしく食べられるから。また、ジンゲロール(ギンゲロールとも)と呼ばれる発汗作用を促す成分が含まれているので、生魚を食べても体が冷えないからという。

「ショウガには殺菌作用があり、食中毒を防ぐために生魚を使うすしに添えられるようになった」と聞いたこともある。が、実際にはジンゲロールには一部の菌には抗菌作用が働くものの、食中毒を防ぐほどの効力は残念ながらないそうだ。

ガリ同様、さまざまな料理に添えられる「紅ショウガ」はショウガを「梅酢」(梅干しを漬けた後の漬け汁)に漬けたもの。こちらは水分の少ないヒネショウガで作られることが多い。

牛丼店で山盛りにトッピングする人も多く、紅ショウガ好きもかなり熱狂的だ。関西には根っこ丸ごとを漬けた紅ショウガをスライスして揚げた「紅ショウガの天ぷら」もあり、B級グルメとして愛されている。

生まれも育ちも関東の私としては紅ショウガを天ぷらにすることだけでも驚きだが、これにソースをかけて食べると聞いてさらに驚く。しかし、よく考えてみれば、焼きそばにもつきものだし、ソース味に合うのは間違いない。

本来脇役なのに、味つけもコテコテにして主役にしちゃうところがなんとも関西らしい。

そうそう、この時期の旬といえば、「葉ショウガ」もある。というとあまり耳慣れないかもしれないが、「谷中ショウガ」と聞けば「あぁ」と思う人も多いはず。

根っこ部分が小ぶりで白く、茎がほんのり赤くて緑の葉っぱがついているアレである。これは「谷中ショウガ」という品種があるのではなく、単に収穫方法の違い。新ショウガを葉っぱ付きのまま収穫したものが「葉ショウガ」。私たちが普段よく口にしている新ショウガやヒネショウガは「根ショウガ」と呼ぶ。

かつて東京・荒川区西日暮里から台東区谷中のあたりがショウガの産地で葉ショウガも出荷していたことから、その代名詞的な存在になったようである。

辛味が少ないので、そのままみそをつけて食べる。この時期の居酒屋メニューとしてもおなじみだ。また、葉ショウガの根の部分に衣をつけて揚げた天ぷらもウマい。

葉ショウガは脇役ではなく主役を張れる。でも、その季節は1年のうちの限られたシーズン。初夏から夏にかけて怪談話で活躍する稲川淳二さんのような存在か。

葉ショウガを軟化栽培(茎などに土を盛るなどして日光をさえぎって栽培する)したものが「矢ショウガ」とか「芽ショウガ」と呼ばれるもの。これを甘酢漬けにしたのが、焼き魚などに添えられる「はじかみ」だ。

これ、いったいどこまで食べていいのか迷ったことはないだろうか。これは根の白い部分だけを食べるのが正解。このように「はじっこだけかんで食べる」から「はじかみ」なのだと思っていたが、どうやら違うらしい。

はじかみは古事記にも登場するショウガの古語。だから、根ショウガも葉ショウガも矢ショウガも本来はみな「はじかみ」だ。今はこの呼び方がだんだんすたれ、その名は矢ショウガの酢漬けだけに残ったというわけである。

「新ショウガ」といえば忘れてはならないのが「岩下の新生姜」。1987年から発売されている岩下食品(栃木県栃木市)のロングセラー商品で、台湾の本島姜(ペンタオジャン)という特別なショウガをフレッシュな浅漬けふうにしたものだ。

「岩下の新生姜」はそのまま食べるだけでなくアレンジしてもおいしいと、そのレシピがツイッター上で盛り上がっている。2012年には『We Love 岩下の新生姜-ツイッターから生まれたFANBOOK』(マガジンハウス刊)なる本まで出版されたというから、もはやショウガ界のアイドルか。

同社の企画開発部によれば「ツイッターは現社長がもともと個人で始めたものですが、あるとき『岩下の新生姜』で検索したら、多くの声があることに驚いて、お礼のリプライを送っていました。その一つひとつが拡大して、今に至っております。アレンジメニューで人気が高いのは、『豚バラ肉のくるくる巻き』と『岩下漬け~ピンクの味玉~』です」とのこと。

「ピンクの味卵」のように「岩下の新生姜」のパックに入った漬け汁を再利用したものは「岩下漬け」と呼ばれる。漬け汁は捨てずにキュウリやセロリなどの野菜を漬ける人も多い。

「『液だけ売ってくれ』というリクエストが多く、この漬け汁を『岩下漬けの素』として商品化しました。スーパーなどで販売しているほか、同じ市内にある『岩下の新生姜ミュージアム』の自動販売機でも販売しています」(同)。

ミュージアムは美術品のコレクターとして有名だった先代社長が作った「岩下記念館」が前身。先代が亡くなる前に美術品を処分し、しばらく空っぽになっていた建物が、2015年6月にグッズを販売するショップやアトラクション、カフェを併設した現ミュージアムに生まれ変わった。

館内は「岩下の新生姜」を象徴するピンク一色で、「ジンジャー神社」があったり、そのこま犬には新ショウガの角が映えた「岩鹿(いわしか)ちゃん」がいたりなど不思議な展示物やグッズが並ぶ。ツイッターでも「攻めている!」と話題に。今年の4月で入場者数が累計30万人にもなったという。

そんなわけでショウガは今、熱いのだ。そして、「熱い」といえばショウガは身体を温め、熱を外に出す働きがある。これからの蒸し暑い季節、新ショウガを料理の脇役だけじゃなく、主役にしてどんどん食べ、夏バテを乗り切ろうではないか。

(ライター 柏木珠希)

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