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レジで現金引き出し スーパーや病院で新サービス 「キャッシュアウト」 高齢者・過疎地で需要

2018/6/5

「キャッシュアウト」ではスーパーの店内で現金の引き出しができる(イオンの店舗)

 ATMに行かなくてもスーパーなどで現金を引き出せるサービスが始まったと聞きました。仕組みや使える施設を教えてください。

◇  ◇  ◇

 スーパーのレジや病院の自動精算機などで現金が引き出せる新しいサービスが始まった。米国では一般的なサービスで「キャッシュアウト」と呼ばれる。日本では昨年の銀行法施行規則改正で一定条件の下で金融機関が預金の出金事務などを外部委託できる範囲が広がり、小売店のレジなどを活用する方式も新たに認められた。これを受け、日本電子決済推進機構(東京・千代田)が運用ルールを作成。今年4月にイオンの大阪、埼玉、愛知など2府12県の43店でスタートした。約430の金融機関のキャッシュカードが使える。

■現金持ち歩き、必要性低く

 2020年の東京五輪に向けキャッシュレス化が進む中、同機構は「新サービスの対応店が増えれば、常に現金を持ち歩く必要性が低くなる」とみる。

 イオンではまず、店内のサービスカウンターで店員にキャッシュカードを渡す。店員が端末で読み取り、利用者が同じ端末に出金額と暗証番号を入力すれば紙幣が店員から渡される。

 イオンに端末を供給するリンク・プロセシング(東京・千代田)によると、仕組みはキャッシュカードで買い物ができる「Jデビット」と同じ。Jデビットでは買い物代金が利用者の銀行口座から即時に引き落とされ、後で店に入金される。新サービスは基本的にこの買い物代金が現金引き出し額と入れ替わるだけだ。

 イオンによると、特にATM操作に不慣れな高齢者に「店員と対面で出金ができる」と好評という。利用促進のため当面、手数料を無料にしており、時間帯などによってはATMより割安に引き出しができることに注目する人もいる。

■スマホとQRコードで

 別方式を検討しているのが横浜銀行。出金にはカードではなくスマートフォン(スマホ)とQRコードを使う。同行は昨年、飲食店などでスマホを使って決済すると口座から即時に代金を引き落とすサービスを開始。この仕組みを応用する。

 利用を予定しているのは病院や飲食店、ゴルフ場ににある自動精算機などの無人の機器。構想が実現すればQRコードの読み取りでスマホと精算機をつなぎ、ATMのようにお金が引き出せる。第1弾は病院が有力で18年度中の開始を目指す。さらに「社員食堂の券売機や小売店のセルフレジなどもATM代わりにできる」(同行)という。

■ATM設置よりコスト抑える

 最近はATM網を縮小する金融機関が目立ち、コンビニのATMも過疎地をカバーしきれていない。新サービスの対応施設が増えればATM設置よりもコストを抑えながらこれらを補える一方、施設側は集客力を高められる可能性がある。

[日本経済新聞朝刊2018年6月2日付]

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