2018/6/11

「シダの急増は、植物が一掃された土地で先駆種が急速にコロニーを再形成する『災害植物相』の証拠です。今日でも、ハワイの溶岩流や火山噴火後に地滑りが起きた場所などでシダが繁茂する現象が見られます」とバーコヴィチ氏は言う。

成熟した森林が回復するには数千年かかったかもしれず、植物の構成は元通りにならなかったかもしれない。

また、白亜紀後期の最も一般的な化石鳥類(エナンティオルニス類という原始的なグループ)の分析結果は、その多くが樹上性だったことを示唆している。エナンティオルニス類は1種も生き残っておらず、論文ではその理由を、彼らの生息地が完全に消滅したからだろうと推測している。

さらに、現生鳥類のグループの祖先にあたる、新たに発見された化石鳥類は、小惑星衝突直後の時期に生息していたものだが、脚の比率から、地上性だったと考えられる。

「これらの観察や事実は、地上性の鳥類が白亜紀の終わりの大量絶滅を生き延び、のちに世界の森林が回復してから、再び樹上性の系統を生み出したとする仮説と整合性があります」と、フィールド氏は言う。「私たちは、花粉の化石記録、鳥類の化石記録、現生鳥類の生態環境からの推測という独立の情報源を用いましたが、いずれも基本的に同じ仮説を裏づけていました」

ウクライナの農場で飼育されているダチョウ(PHOTOGRAPH BY MICHAEL MELFORD, NATIONAL GEOGRAPHIC CREATIVE)

新しい問い

初期の鳥類の専門家で、米ロサンゼルス郡立自然史博物館恐竜研究所の所長であるルイス・キアッペ氏は今回の研究について、「地球規模の森林破壊が現生鳥類の進化に及ぼした影響について、説得力ある論証を展開しています」と評価する。

「白亜紀の終わりに樹上で暮らしていた古い鳥類のグループが絶滅した理由を説明する、興味深い新しい仮説です」とキアッペ氏。ただし、エナンティオルニス類や先史時代のその他の鳥類のなかには樹上で暮らしていなかったものもいて、今回のデータでは、そうした鳥類まで絶滅した理由は説明できない。

クラーク氏は、「今回の研究の優れている点の1つは、検証可能であることです」と言う。「恐竜が絶滅した理由についてはさまざまな仮説がありますが、いずれも検証は不可能ですから」

地球規模の森林破壊を裏づけるためには、研究者は、世界各地の岩石に残る大規模火災の地質学的証拠を今後も探し続けなければならない。また、鳥類の化石記録は小惑星衝突直後の数百万年分が不足しており、フィールド氏らは、この不足分を埋めたいと考えている。

キアッペ氏は、「この仮説は、すべての優れた仮説と同様、新しい研究や新しい問いを促します」と言う。答えの一部は、まだ十分にサンプル調査が行われていない地域からの新たな化石の発見にかかっているのかもしれない。

(文 John Pickrell、訳 三枝小夜子、日経ナショナル ジオグラフィック社)

[ナショナル ジオグラフィック ニュース 2018年5月29日付]

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