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掛け捨て・トンチン…民間介護保険、今後の人気は? 次のヒット保険(下)

日経トレンディ

2018/6/15

写真はイメージ=123RF
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 保険業界では、「死亡保険」から「生き続ける保険」へのシフトが鮮明になっている。最近ブレイクした、現役世代の働けないリスクに備える「就業不能保険」の次に来るのが、「介護に備える保険」だ。2回に分けて紹介する(前回記事「民間の介護保険は必要? 人生100年時代に備える」はこちら)。2回目は公的介護保険を補完する、民間の介護保険をタイプ別に説明する。

◇  ◇  ◇

 民間の介護保険は、その給付条件が公的介護保険の認定基準と連動しているタイプの商品が大半で、特に「要介護2」を基準とする商品が多い。要介護1または3とする商品もある。

要介護のどの段階から備えるべき? (出所:生命保険文化センター)

 この基準のボーダーとなる人にとっては、どちらに認定されるかにより給付が受けられるかどうかの分かれ道となる。介護認定は毎年更新されるが、「今年は認定が厳しくなった」という印象を持つ人もいる。介護認定には、やや曖昧な側面があることも知っておくほうがいいだろう。

■介護保険も貯蓄型と掛け捨て型に二分される

 介護保険は、死亡保険と同じく「貯蓄型」と「掛け捨て型」に分かれていて、それぞれ似て非なる性質を持つ。貯蓄型のうち、(1)「終身保険+介護保険」タイプの商品は、死亡保障・介護保障・貯蓄性という3つの機能を併せ持つ。(2)「年金保険+介護保険」タイプは、年金としての積み立てと、介護保障がセットになっている。こうした商品は、介護状態にならないとしても貯蓄ができ、自分の老後資金としたり子供に残したりできるのが特徴だ。

 掛け捨て型の商品は、ここ1~2年で人気を伸ばしている。(3)「介護保険」単独タイプは、介護保障に目的を絞り、死亡保障や解約返戻金などを抑える、もしくはなくすことで、保険料を安くしている。さらに、(4)「医療保険の特約」タイプの商品も続々と発売されている。医療保険の主契約やさまざまな特約と組み合わせることで、全体の保険料を圧縮できる。医療保険の特約なら、少額から介護保障を確保することも可能で、手軽でもある。掛け捨て型商品のメリットはやはり保険料の安さ。これを選ぶなら割り切って、必要なときまで支払い、不要となったら解約するというシンプルな利用がお勧めだ。

 現状の介護保険全体の売れ行きを見ると、貯蓄型商品が主流で掛け捨ての商品は優先順位が低かった。しかし近い将来には、介護への危機意識の高まりから、これが逆転し、安く介護に備える掛け捨て型の商品の人気が上がることが予想できる。

 4つのうち、どのタイプにするかを決め、そのうえで給付基準の違い(介護認定の度合い)を見比べて、より給付されやすいほうを選ぶといいだろう。現状では、最も給付の条件が緩いのは、要介護1だ。貯蓄型のなかでは、朝日生命保険「あんしん介護」の年金タイプのものが該当する。また、掛け捨て型のなかでは、損保ジャパン日本興亜ひまわり生命保険「リンククロス 新・健康のお守り」の介護一時金特約が、18年から要介護1を給付条件に設定。この基準がトレンドとなり、他社が追随する可能性がある。

 太陽生命「My介護Best」は、上に紹介した介護年金タイプの他、生き続ける限り年金が受け取れて、所定の介護状態になった場合に保障がプラスされる「100歳時代年金」も注目される。こうした平均寿命を超えて長生きしてもお金に困らないよう設計された商品は、原型を考案したとされる17世紀のイタリアの銀行家ロレンツォ・トンティ氏にちなんで「トンチン型」と呼ばれる。今後、トンチン型の商品との組み合わせも需要が高まるだろう。

(保険ジャーナリスト 森田直子)

[日経トレンディ2018年6月号の記事を再構成]

日経トレンディ 2018年 7 月号

著者 : 日経トレンディ編集部
出版 : 日経BP社
価格 : 750円 (税込み)


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