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140歳現役の風格も 歩いて渡れる長寿鉄橋10選

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NIKKEI STYLE

明治・大正時代につくられ、今も現役。そんな鉄橋が多く残る。
歴史を重ねた橋は趣と風格をまとい、街や自然に溶け込んでいる。
歩いて渡れる名橋を11人の専門家に選んでもらった。

橋の数奇な運命 新たな景色映す

明治時代の幕開けとともに日本の鉄橋の歴史は始まった。石や木造に代わり、日本初の鉄製の橋「初代くろがね橋」(長崎市、架け替えで現存せず)が架設されたのは1868年。文明開化の波に乗り、鉄道橋を中心に徐々に広がった。昭和初期頃まで鉄材は貴重で、多くの橋がリサイクルされている。5位の切立橋は九州から東北に移設。大阪市の浜中津橋のように2度の移設・再利用という数奇な運命をたどった橋もある。

鉄橋の設計寿命は50~60年とされ、現代では撤去や放置される橋も多い。だが「適切にケアすれば100年以上使える」(吉川さん)。近年、橋梁の歴史的価値が見直され、古い橋梁を移設し、保存・再利用する動きも出てきた。2013年に架け替えられた横浜市の霞(かすみ)橋は歴史的建造物に詳しい大学教授の提案で、廃橋寸前だった明治時代の橋を移設・再生したものだ。

普段何気なく見ている橋にも歴史はある。思わぬストーリーを知れば、次に渡る時に新たな景色が見えてくるかもしれない。

1位 永代橋(えいたいばし) 670ポイント
資料価値大、重厚な「帝都の門」(東京都)92歳

1926年に架設。関東大震災復興事業の象徴的な橋で、ドイツのライン川に架かっていたレマゲン鉄橋をモデルにしたともされる。「歩道から見上げ、手で触れることのできる上向きの重厚なアーチは帝都の門そのもの」(掘井滋則さん)。「支柱と支柱の間が日本で初めて100メートルを超えた橋でもあり、技術的資料価値も高い」(吉川宏史さん)。国の重要文化財。

永代橋の歴史は古く、江戸時代の元禄年間に徳川綱吉の50歳を祝う記念事業として、木造の大橋が架けられた。文化年間には富岡八幡宮の祭礼時に人波で落橋し、死者1000人を超える大惨事も起きている。

「清洲橋、勝鬨(かちどき)橋などとともに隅田川に架かる橋の博物館の一つ」(平野暉雄さん)であり、「それらの橋の力強い姿から(近代橋梁の父ともいわれる)田中豊、太田圓三(えんぞう)らによる技術とデザインのせめぎ合いが伝わってくる」(平塚桂さん)。

下流にはビル群、上流は東京スカイツリーが見渡せる。夜に青白くライトアップされた姿を「スカイツリーや船の航跡とともに撮影すると美しい」(依田正広さん)。

(1)184.7メートル・25.6メートル(2)東京メトロ茅場町駅(3)東京都建設局(電話03・5320・5295)

2位 南河内橋 660ポイント
眼鏡のような形状、八幡製鉄所と関連も(福岡県)92歳

眼鏡のレンズのようなユニークな形が特徴だ。官営八幡製鉄所の工業用水を確保するためつくられた貯水池を渡るため、1926年に架設された。同形状の橋は欧米で多数建設されたが、日本では3例だけで現存は唯一。国の重要文化財になっている。「独特の形状がオリジナルのまま残っているのは一見の価値あり。旧八幡製鉄所関連の遺構群としても価値が高い」(掘井さん)

優雅な赤い鉄橋は山の緑と湖面の青に映え、「人工物と自然の織り成す景観を楽しめる」(三上美絵さん)。「新緑、紅葉どちらも絵になる景観とレンズ型の赤い構造物が魅力的」(依田さん)。歩くと橋の部材に左右・頭上を囲まれ、赤いジャングルジムの中にいるような不思議な感覚に。

(1)133メートル・3.6メートル(2)JR小倉駅(3)北九州市市民文化スポーツ局文化企画課(電話093・582・2391)

3位 遠登志橋(おとしばし) 530ポイント
山の中、絵になる赤いアーチ(愛媛県)113歳

石鎚山地に属する西赤石山へ向かう登山道を鹿森ダムから登ると、突然視界が開けて赤い鉄橋が現れる。1905年、別子銅山を運営していた別子鉱業所が架けた、現存する明治期最大級の鋼製アーチ橋だ。「緑の山の中でポツンとたたずむ赤い橋が絵になる」(雨宮健一さん)。「上流には銅山の町跡で『東洋のマチュピチュ』とも呼ばれる東平(とうなる)がある。タイムトラベルに誘うようで知的好奇心がくすぐられる」(森戸香奈子さん)

老朽化で93年に補修する際、アーチ橋の上につり橋を架けるという珍しい手法で保存が図られた。「歴史的構造物の保存のあり方を考える上で興味深い」(中村一史さん)。上流側に遠登志渓谷の美しい景観が望め、秋は付近が紅葉で赤や黄色に色づく。

(1)48.3メートル・2.4メートル(2)JR新居浜駅(3)新居浜市経済部運輸観光課(電話0897・65・1261)

4位 神子畑鋳鉄橋(みこばたちゅうてつきょう) 480ポイント
日本最古の全鋳鉄製、鉱山開発支える(兵庫県)133歳

現存する日本最古の全鋳鉄製アーチ橋。天空の城として知られる竹田城の地元で建設された。国の重要文化財に指定されている。神子畑鉱山で採掘した鉱石を生野精錬所などに運ぶ運搬道の一環で1885年に架設された。「周辺の産業遺産を含めて魅力があふれる」(平塚さん)

生野鉱山の開発にあたったフランス人技師団の技術指導があったとされ、「アール・デコのような美しいデザイン。温泉街や街なかにあっても不思議ではないオシャレな橋が里山にあるのが面白い」(森戸さん)。現在は遊歩道。

(1)16メートル・3.6メートル(2)JR新井駅(3)朝来市あさご観光協会(電話079・677・1165)

5位 切立橋(きったてばし) 380ポイント
ドイツ製、鉄道や発電事業に貢献(福島県)127歳

不思議な縁で九州から東北に移設されたドイツ製の橋だ。1891年に鹿児島本線の矢部川(福岡県)に架設されたが廃橋に。福島県の電力会社社長がかつて九州鉄道(後に国有化)の社長だったため、1921年会津若松市に運ばれ、発電所を結ぶ道路橋として再活用された。「明治から大正にかけて日本が推進した鉄道や発電事業に貢献した点で、まさに近代化遺産といえる」(三上さん)

ドイツから輸入された同じ形式の11橋のうち現存するのは2橋だけ。「桜や新緑の季節に歩きたい」(立川薫さん)

(1)49メートル・3.3メートル(2)JR東長原駅(3)会津若松観光ビューロー(電話0242・23・8000)

6位 富士川橋 370ポイント
緑の6連トラス、背景に富士山(静岡県)94歳

日本三大急流の一つに数えられる富士川に国道1号を通す頑強な橋として、1924年に架設された。71年にバイパス道の新富士川橋が架けられて県道となったが、今なお交通量は多く、付近の交通を支えている。

好天時に下流から見ると緑色のトラス(三角形が組み合わさった構造)が6つ連なる向こうに富士山が望める。「400メートル近い長さ、富士の遠景、半円形の美しいシルエットが連なる姿は見ていて気持ちがいい」(森戸さん)。「富士川の壮大な流れを見ながら渡ってみたい」(雨宮さん)

(1)399.1メートル・7.3メートル(2)JR富士川駅(3)静岡県富士土木事務所(電話0545・65・2819)

7位 南高橋(みなみたかばし) 360ポイント
ビル群に映える銀色、鋼製(東京都)114歳

現在も道路として使われている鋼製トラス橋では都内で最も古い。1904年に3連トラスの旧両国橋として隅田川に架設。関東大震災で損傷したため、被害の少なかった中央部分のトラスを移設、32年南高橋として再生させた。「明治の鉄橋が被災・移設を経て現在も現役で活躍しており、鋼鉄の耐久性に感心する」(吉川さん)。

「銀色に塗られたトラス橋は不思議に周辺のビル群とマッチ」(掘井さん)しており、ロケ地としても盛んに使われる。オレンジ色にライトアップされた姿も魅力的だ。

(1)63.1メートル・12メートル(2)東京メトロ・八丁堀駅(3)東京都中央区道路課月島道路事務所(電話03・3531・1155)

8位 出島橋 300ポイント
原爆に耐え、モダンさ光る(長崎市)128歳

1890年に長崎・中島川に新川口橋として架設。1910年出島に隣接する現在地に移された。現在も車が通行できる最古の鉄製道路橋だ。「繊細でシンプルなトラス橋は19世紀のものとは思えないモダンさがある」(平塚さん)

トラス上部には「ロマン漂うおしゃれな橋名板、唐草模様の橋門構が付けられている」(平野さん)。原爆にも耐えた橋は現在も長崎の人々の日常を支えていて「(昨年完成した)出島表門橋と一緒に巡り、歴史に思いをはせたい」(三上さん)。

(1)36.2メートル・4.9メートル(2)長崎電気軌道・出島駅(3)長崎市土木総務課(電話095・829・1162)

9位 八幡橋(はちまんばし) 280ポイント
国産鉄橋、文明開化のシンボル(東京都)140歳

国内で製造された現存最古の国産鉄橋とされ、国の重要文化財。1878年に弾正橋として楓川に架設、文明開化のシンボル的存在だった。1913年に新たな弾正橋が架けられると、元弾正橋と改称された。

関東大震災の復興計画で廃橋となったが、東京都が29年に現在地に移設・保存。富岡八幡宮に近接していたので八幡橋と称された。アーチ部は鋳鉄、他は錬鉄が使われ「橋梁の黎明(れいめい)期の技術を伝える貴重な文化遺産」(吉川さん)。橋下の堀は埋め立てられ、遊歩道となっている。

(1)15.7メートル・3.6メートル(2)東京メトロ・門前仲町駅(3)東京都江東区土木部道路課(電話03・3647・9684)

10位 港一号橋梁 250ポイント
みなとみらいと線路跡がマッチ(神奈川県)109歳

東海道本線の貨物支線として明治時代に整備された横浜臨港線の一部で、1909年に架設された。臨港線が80年代に廃線となった後、97年に一部を横浜市が遊歩道「汽車道(みち)」として整備。「歴史を感じる線路跡とみなとみらい地区が絶妙にマッチしている」(橋本さん)。周囲の夜景の人気が高く「ランドマークタワーや観覧車を見ながら、のんびり楽しみたい」(雨宮さん)という気分にさせる。遊歩道の二号、三号橋梁も明治時代の長寿橋(三号橋梁は当初別場所に架設)だ。

(1)54メートル・7メートル(2)JR桜木町駅(3)横浜市賑わい振興課(電話045・671・2888)

◇  ◇  ◇

ランキングの見方 数字は点数。橋の名前と所在地。年齢は当初架けられた年を基に、今年"誕生日"が来たとして計算。(1)橋長・幅員(2)主な最寄り駅(3)問い合わせ先。写真は1、2、3、7、9、10位岡田真、6位掘井滋則氏撮影。4位兵庫県朝来市、5位会津若松観光ビューロー、8位日本橋梁建設協会の提供。

 調査の方法 明治・大正時代に架けられ、今も道路橋や人道橋として現役で残る鉄橋(鉄道橋は除く)のうち、専門家への取材を基に30の橋をリストアップ。歴史的な興味が湧く、周囲の景観とマッチしている、写真撮影に好適――などの観点から、橋梁や観光などの専門家に渡ってみたい橋を選んでもらい、結果を集計した。

今週の専門家 ▽雨宮健一(KNT-CTホールディングス国内旅行部)▽立川薫(JAF Mate編集長)▽中村一史(首都大学東京大学院准教授)▽橋本実耶(JTBガイアレック総務部営業企画課)▽平塚桂(建築ライター)▽平野暉雄(景観技術センター社長)▽掘井滋則(横河ブリッジ大阪設計第二部長)▽森戸香奈子(じゃらんリサーチセンター研究員)▽三上美絵(土木ライター)▽吉川宏史(日本橋梁建設協会技術顧問)▽依田正広(橋梁写真家)=敬称略、五十音順

[NIKKEIプラス1 2018年6月2日付]

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