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カリスマの直言

米中貿易摩擦 その先に人民元を巡る攻防(武者陵司) 武者リサーチ代表

2018/6/4

画像はイメージ=123RF
「米トランプ政権は就任2年目に入り、米覇権強化の姿勢を強めている」

 米国のトランプ政権は就任2年目に入り、米覇権強化の姿勢を強めている。1年目は大型減税など米国内経済の対策に注力していたが、2年目は米覇権に挑戦する中国をいかに抑え込むかに躍起となっている。その先に透けるのは、米による中国人民元の切り下げ阻止だ。

 トランプ氏は主要閣僚の大半をシャッフルした。国務長官をティラーソン氏からポンペオ氏に、国家安全保障問題担当の大統領補佐官をマクマスター氏からボルトン氏に、そして経済の司令塔をコーン氏からクドロー氏とナバロ氏にした。いずれもタカ派、強硬保守派と呼ばれる面々で、その目的は中国を抑え込むためといっていいだろう。

 トランプ政権が米朝首脳会談の開催を巡り、激しく揺さぶりをかけたのも北朝鮮の後ろ盾となっている中国へのけん制が背景にあるといっていい。

■米国は中国の経済台頭を強く危惧

 世界4極(米・中・日・欧)の名目国内総生産(GDP)の推移を見ると、中国は日本をすでに逆転、ユーロ圏ともほぼ肩を並べ、追い抜こうとしている。このままいくと2026年には米中逆転が起きる。そうなれば、中国は経済力でも軍事力でも米国を脅かし、世界の覇権は中国に移るであろう。米国はこれを強く危惧しており、中国の経済台頭を阻もうとしている。

 トランプ氏が仕掛けた米中貿易を巡る駆け引きの狙いはそこにあるといっていい。中国がここまで経済的に台頭できたのは、米国のおかげである。米国の主要国別貿易赤字を見ると、17年の対中貿易赤字は3750億ドルで全体赤字のほぼ半分である。この規模は、日米貿易摩擦が話題となった今から20年ほど前の日本の対米黒字が500億~600億ドルだったのと比べても著しく大きい。

 トランプ政権の中国封じ込めは狙い通りの成果をもたらすのではないかと筆者は予想する。中国が急激に対米黒字を積み上げることができたのは知的財産権保護などの対策を怠る「フリーライド」によってであり、米国はこれをやめさせようとしているのだ。

 米通商代表部(USTR)の代表であるライトハイザー氏は、日米貿易摩擦で日本をやり込めた当事者であり、今度は中国に対してその経験を存分に発揮するであろう。様々な分野で米国から中国に対し圧力や制裁が科せられるとみられる。

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