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介護の人手不足が深刻 賃金以外も目配りを

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高齢化を支える介護人材の不足が深刻さを増しています。仕事を探す人に対する求人数を表す2017年度の有効求人倍率は介護職で3.6倍と全体の1.4倍を上回りました。今後もニーズが増すため、厚生労働省は16年度に190万人の介護人材を25年度までに55万人増やす必要があると見込んでいます。

介護職が不足する理由としてよく挙げられるのは賃金の低さです。福祉施設の介護員の月給は23万円と全産業平均の約3分の2にとどまります。介護職は公的な保険制度で賃金水準が決まる側面が大きく、賃上げには国民が払う保険料や税金で原資を確保しなければなりません。賃上げ以外に人手不足を緩和する手段はないのでしょうか。

まずは働く人の声を聞いてみましょう。介護職は年間の離職率が17%と全産業平均の15%を上回っており、人手不足を加速させる要因となっています。そこで日本介護福祉士会が16年11月にアンケート調査で転職者に理由を尋ねました。結果は職場の人間関係(35%)や職場の運営方針(33%)が給与面の不満(30%)を上回ったのです。上智大の栃本一三郎教授は「介護で働く人が賃金以外の要素を大事に考えていることに注目すべきだ」と話しています。

別のアンケートでは、介護職に対して「専門性が発揮できない」「将来の見通しがない」との声も多く聞かれました。栃本氏は「特別な技能が必要な認知症の人への支援など、専門性を発揮できるよう、継続的な教育の機会を与えていく必要がある」と課題を挙げています。京都府は数年前から、職員の育成に熱心な事業所に対して人材紹介を優先する制度を始めました。結果、離職率は8%と全国平均の半分以下に下がりました。

政策にも課題があります。国家資格である介護福祉士の受験者数は17年度に9万人と15年度の6割に落ち込んでいます。16年度から受験資格に長時間の研修を課したことが原因です。介護職の地位を上げるというのが受験資格の変更理由ですが、人手不足に逆行する結果となりました。聖路加国際大の池上直己特任教授は「資格要件を厳しくする現在の方針をあらため、研修も国際標準に合わせて効率化すべきだ」と述べています。

介護に関わるのはプロばかりでなく、無償で家族を介護する人もいます。ドイツでは、家族らの介護を一定以上担う人には現金などを支給する仕組みもあります。千葉商科大の斎藤香里准教授は「介護者の生活を助けるだけではなく、介護の貴重さを社会に周知する効果もある」と話しています。人手不足の解消には家族や地域の力を上手に引き出すことも求められそうです。

斎藤香里・千葉商科大准教授「電子化による効率化を」

介護には重労働のイメージがありますが、人材の定着や流入を促す手立てはあるでしょうか。千葉商科大で介護保険制度などを研究している斎藤香里准教授に聞きました。

――介護分野の人手不足の要因は何でしょうか。

「賃金水準が低いことは、人が集まりにくい要因の1つだが、現場にはほかにも問題がある。たとえば訪問介護を担うヘルパーの場合、事業者側とのニーズのずれが大きい。ヘルパーを目指す人の多くがパートタイム勤務を望む一方、事業所は人が増えると管理コストが増すのでフルタイムの求人を出す。結果として採用が進まず、人手不足が解消しないことになる」

――どのような解決策がありますか。

「介護事業所で管理コストがかさむのは、サービスの計画や実績を記録するために大量の紙を用いるためだ。ヘルパーは利用者の自宅で介護記録を記入するだけでなく、事業所に帰っても業務日誌などを紙に記入する。こうした紙の確認や管理に手間がかかる。社会のIT(情報技術)化が進んだのに、介護の世界はいまだに紙での管理が主流だ。電子化による効率化の余地が大きい」

――具体的にはどうするのですか。

「地元の事業所でスマートフォン(スマホ)を用いた効率化の実験を試みた。ヘルパーは自分のスマホを用いて移動時間などに記録を済ませ、事業所も即座にチェックできる仕組みだ。手書きを減らすことで記録や確認が迅速に進むようになった一方、思わぬ問題も生じた。サービスを受けた確認のためにヘルパーが利用者からもらう印鑑を巡ってだ。押印には紙が必要なので、ヘルパーが小型のプリンターを持ち歩くことにもなり、印刷などに時間を要した。押印という文化も効率化を阻む。たとえば利用者の手指の静脈による認証など先端技術の導入が必須だろう。個々のスマホにアプリを入れるだけなので、ヘルパー1人あたり1カ月数百円で導入できる」

――効率化だけで人が集まるでしょうか。

「介護はほかの職種に比べ離職率が高い。離職の原因をみると職場での人間関係のトラブルなどが多いが、根っこにあるのは大切な仕事にもかかわらず適正な評価が得られていないことだ。評価とは賃金にとどまらず、仕事への理解や敬意も含まれる。スマホによる実験では、仕事に対し、利用者や仲間から『いいね』と承認を得られる仕組みも導入した。仕事の記録や評価をデータとして残すことで、現場の努力が認められる一助としたい」

(高橋元気)

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