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米利上げ打ち止め説 超低金利の日本は?(平山賢一) 東京海上アセットマネジメント執行役員運用本部長

2018/6/5

写真はイメージ=123RF
「FRBによる利上げが2019年に打ち止めになると、日銀にとっては困った事態が起きかねない」

 今、国際金融市場では米連邦準備理事会(FRB)が2015年末に始めた利上げをいつ打ち止めにするのかが話題となっています。市場では19年中に打ち切るとの説が浮上、米ドルの先高観測が後退するなど外国為替市場の影響も予想されます。

 08年のグローバル金融危機を乗り越え、世界の中央銀行は金融政策を危機モードから平時モードへと切り替えてきました。

 その先頭を走るのが米国です。すでにFRBは政策金利であるフェデラルファンド(FF)金利を15年末以降、6回引き上げる一方、大量に購入していた国債などの残高を減らしています。欧州中央銀行(ECB)は利上げはしていませんが、国債購入額は減らし始めており、今秋には購入そのものを停止する可能性があります。

 FRBの度重なる利上げでFF金利は現在1.50~1.75%、米10年物国債の利回りは3%前後となりました。FRBは18年は3~4回利上げ(すでに3月に1回実施)するとの見方が有力です。

■FRBの利上げに19年打ち止め説

 しかしながら、その先を見通すとFRBの利上げは19年中に打ち止めになるのではないかとの見方が浮上しています。FRBが5月23日に公表した1~2日の米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨やフィラデルフィア連銀のハーカー総裁の発言により観測が急浮上し、米長期金利の低下を招きました。

 もしもFRBが利上げを打ち止めにするとドル高基調は続きそうにありません。その場合、大規模緩和からの「出口戦略」が遅れている日銀にとっては円高リスクが浮上するという困った事態が起きかねません。日銀は10年国債利回りをゼロ%程度に誘導する「イールドカーブ・コントロール政策」(YCC)を実施していますが、来るべきリスクに対応するためには、少しでも金利を上げておく必要があるでしょう。

 今回は、これまで日本国債利回りがどのように推移してきたのかを確認した上で、今後の方向性を考えてみたいと思います。

 図は戦前・戦時期約20年間の国債利回りと、戦後の40年間程度の国債利回りの推移を示したものです。戦後の一時期は、国債そのものの利回りデータが得られなくなり、国債以外の債券利回りで代替していた時代もあるため、図では財務省が公表している「流通市場における固定利付国債の実勢価格に基づいて算出した主要年限毎の半年複利金利」を用いています。また、戦前は個別銘柄計250超を対象とした時価総額加重平均インデックス(著者が算出した昭和初期国債パフォーマンスインデックス)の複利利回りを用いています。

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