150年存続の秘訣「スモール・イズ・ビューティフル」神戸・元町の柴田音吉洋服店(下)

「現代の名工」に選ばれた工場長(チーフカッター)の稲沢治徳氏

「工房には現在6人が従事しており、60歳以上のベテランぞろいです。長い経験に裏打ちされた技術は得がたいものです。健康を維持して働いてもらうために自宅勤務制を導入しています。次世代への技術継承についは、後継者となる人材を発掘して進めています」

――明治以来の顧客数は約2万人、型紙が約3000枚残っているそうですが、どのような人々が顧客だったのですか。

「関西が中心ですね。戦前は藤田財閥の藤田伝三郎男爵や大倉財閥の大倉喜八郎男爵。鈴木商店の金子直吉氏や川崎製鉄(現JFEスチール)の松方幸次郎氏、九州の麻生財閥の麻生太喜蔵氏といった方々です。戦後は松下電器産業(現パナソニック)の松下幸之助社長や東洋紡績(現東洋紡)の宇野収社長、森下仁丹の森下泰社長。ノーベル化学賞受賞者の福井謙一・京都大学名誉教授にも作っていただきました」

「地元では神戸銀行(現三井住友銀行)の石野信一頭取や神戸製鋼の外島健吉社長。4代続けて作っていただいているお客さまもいます。ここ数年は『初めてビスポーク服を作りたい』という30~40歳代の顧客が増えています」

――若い顧客に最初の1着として、どのようなスーツを薦めますか。

「チャコールグレーです。ビジネスにも冠婚葬祭にも使える基本中の基本です。日本ではネイビーがもてはやされ過ぎていると感じます。本来は夜の食事に出掛けるときなどに着用するものです。ブラックも欧州ではファッションカラーとして着用されます」

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