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REIT投資の勘所

マンション需給がタイトに REIT、住宅系に投資魅力

日経マネー

2018/6/6

写真はイメージ=123RF
日経マネー

 J-REIT価格は2018年度に入っても、18年3月の流れを引き継ぎ安定的に推移している。東証REIT指数は、4月18日以降は2月下旬以来となる1700ポイント台での値動きが続いている。東証REIT指数が緩やかながら上昇基調に転じている理由は、時価総額が大きいオフィス系銘柄の投資口価格が大幅に上昇したためだ。

 オフィスビル系銘柄は、東京都心部での大型物件の大量供給が18年から始まるとの見方から、収益の悪化懸念が広がり17年には投資口価格の下落が目立っていた。しかし都心5区のオフィス空室率が3%以下に低下するなど、需給悪化に対する投資家の懸念が払拭できる状況が明確になってきたため、反発の動きが強まっている。

 しかしオフィスビルでは、20年に18年を超える大量供給が予定されている。森ビルが4月に公表した調査によれば、東京23区での大規模ビル供給面積は20年に168万平方メートルとなり、18年(146万平方メートル)を超える見込みだ。筆者は20年の大量供給も景気動向に大幅な変動がなければ需給への影響は少ないとみているが、19年以降は17年と同様に投資家の懸念が再度浮上していくことになるだろう。

■マンション物件は高稼働率が続く見込み

 一方でオフィス以上に堅調な環境が続く可能性が高いREITの投資対象は、賃貸マンションだ。賃貸アパートと異なり、投資対象の中心となる東京23区内の中高層賃貸マンション市場は、今後も物件供給が少なくなるとみられている。

注:投資口価格は2018年5月2日時点

 この背景として、新規開発におけるホテルとの競合の激化が考えられる。訪日外国人(インバウンド)の増加に伴う宿泊客の拡大が見込まれる中で、ホテル開発用地の需要が増加しているためだ。

 賃貸マンションとホテルは、開発用地に重なる点が多い。まず、大規模な敷地面積を共に必要としない。また、ビジネスホテルなどの宿泊をメインとしたホテルであれば、賃貸マンションと同様に表通りに接している必要性も少ないという点でも共通する。

 このような競合が起きている中で、インバウンド需要を受けてホテルの客室稼働率が高くなっている。このため、ホテルの方が収益力で見れば優勢な状態になっている。さらに東京では、一部地域ではあるがホテルを建築した場合での容積率緩和も利用できる。つまり開発用地取得で競合した場合には、賃貸マンションがホテルに勝てないことが多くなっているのだ。

 また新規供給が少なくなっているため、新築賃貸マンションの家賃は上昇している。分譲マンション価格の高騰などもあり、入居者は安い家賃を求めて引っ越しする動機を持てないようになっている。

 このため、REITが投資対象とするマンション物件は高い稼働率を維持している。このような状況は少なくとも20年までは続きそうだ。オフィス型銘柄と比較して住居型銘柄の方が、物件の需給悪化懸念による投資口価格の下落懸念は薄いと言えるだろう。

関大介
 不動産証券化コンサルティング及び情報提供を行うアイビー総研代表。REIT情報に特化した「JAPAN-REIT.COM」(http://www.japan-reit.com/)を運営する。

[日経マネー2018年7月号の記事を再構成]

日経マネー 2018年 7 月号

著者 : 日経マネー編集部
出版 : 日経BP社
価格 : 730円 (税込み)


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