JINSコラボ眼鏡が大ヒット クラシックブーム再点火
「メガネの定義を問い直し、メガネの本質からデザインする」をコンセプトに2017年10月にスタートした「JINS Design Project」。その第1弾となった世界的なプロダクトデザイナーであるジャスパー・モリソン氏とのコラボ眼鏡は、現在までに7万本以上を販売するヒットとなった。そのクラシックで普遍的なデザインは「究極の普通」を体現したものという。
続くクラシックフレームブーム
JINSに限らずフレームのデザインは、ここ数年の「クラシックブーム」が依然として続きそうというのが、眼鏡販売各社の一致した見方だ。「最近の売れ筋の眼鏡の傾向は、細身で丸みを帯びた逆三角形のボストンタイプや、円に近いラウンドタイプのメタルフレーム」(ジンズ コーポレートコミュニケーション室 広報・PR担当の岡田真里奈氏)。「男性にはスポーツタイプ。女性にはボストン系メタルや異素材コンビネーションタイプ、シニアには『Zoff SMART』やチタンなど機能系タイプがよく売れている」(Zoffを運営するインターメスティック)。
クラシックブームの中にも変化はある。「パリミキ」を運営する三城 商品企画の増井孝安氏は、素材としては「プラスチックからメタルに売れ筋がシフトしてきている」と話す。また「ベージュ、ピンクなどでペールトーンのクリアカラーのフレームや、ここ数年で急激に人気が高まっているライトカラーのレンズも、色が強すぎないカラフルでライトなスタイリングになってきている」とのこと。
こうしたなか、JINSはJINS Design Projectの第2弾を発表。今回も有名なプロダクトデザイナー、コンスタンティン・グルチッチ氏とのコラボで、そのラウンド型のデザインは「メガネの起源のかたち」に由来するという。
木村拓哉がブレークスルー、星野源らがけん引
クラシックな眼鏡の人気は、いつ、何がきっかけで始まったのか。
「クラシックな眼鏡のブームはここ15年はずっと続いている印象。個人的には2001~2002年ごろに『ウイダーinゼリー』のCMで木村拓哉が出演していた際に彼が掛けていた、その当時としては大ぶりなウエリントン型の眼鏡がブレークスルーになったと感じている」(「東京ミッドタウン日比谷」の眼鏡店「CONVEX」を手がけ、ビンテージ眼鏡に詳しい柳原一樹氏)。
また星野源やジョニー・デップもクラシックな眼鏡を愛用していることで知られている。アイコニックな有名人が愛用している眼鏡にフォーカスが当たったことも、流行のきっかけのようだ。その中で、現在はセルフレーム、メタルフレームと細分化が起こっているとのこと。
CONVEXではフランスの1940~1950年代のデッドストックをメインに展開しているが、日本の優れた技術でビンテージに歩み寄った「gue' pard(ギュパール)」などのブランドも販売している。
「福井県・鯖江で生産しているが、1940年代のフランスのビンテージフレームがデザインベース。フレンチビンテージのデザインをより身近に感じられる」(同店)という。ビジネスパーソンにお薦めのビンテージブランドを聞いたところ、イギリスの「HILTON CLASSIC(ヒルトン クラシック)/QUADRA」のゴールドとのこと。
「1970年代のビンテージで、ソリッドゴールドのメタルフレーム。普遍的なクラシックの王道で、ビジネスシーンにおいて、説得力や大人の風格を演出できるのでは」(同氏)。
眼鏡の売り上げは伸びている。矢野経済研究所「国内アイウエア小売市場概況と予測」(2017年9月発表)によると、2016年の国内アイウエア小売市場の規模は前年比102.1%の5045億円と、2012年以降5年連続のプラス成長となっている。2017年も前年比101.5%の5120億円と予測されている。
この背景にはUVカットなどの有害光線対策を中心とした機能性アイウエアや高機能レンズ商品の存在がある。加えて、今回紹介したようなデザイン性に優れた眼鏡の登場によって、眼鏡を複数所有し、気分や服装で使い分ける人が増えていることもありそうだ。
(ライター 桑原恵美子)
[日経トレンディネット 2018年5月11日付の記事を再構成]
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