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故郷徳島から岡山へ 新天地選びは地域の支援決め手 地方移住は新時代へ(5)

2018/6/8

国の重要文化財に指定されている備中松山城(岡山県高梁市)=PIXTA

 「都会より少し田園的で、落ち着いたところで仕事をしたい」。こんな思いが吉野拓也さん(42)を岡山・備中の小京都・高梁市への移住に突き動かした。約1年半前のことだ。働き盛りでの転職も経験し、仕事内容は社会福祉法人のマネジメント職から建設会社の管理部門へとがらりと変わった。

■転機を求め、人材紹介事業者に会う

 吉野さんは徳島県で生まれ育った。徳島文理大学工学部を卒業後、県内の社会福祉法人に就職し、そこで18年あまり働いた。会計・経理業務のマネジメント、就業規則づくりといった幅広い業務にかかわり、障害者施設での介護に携わったこともある。積み重ねたキャリアを生かし、障害福祉サービス事業の施設管理を担う「サービス管理責任者」の資格も取得した。

吉野拓也さんは「移り住んで1年半、この地の生活にすっかり満足している」と話す

 仕事は順風満帆で、職場での人間関係も円滑。だが慣れ親しんだ徳島での「狭い生活」は変化に乏しく、だんだんと息苦しさを感じるようになってきた。「このままの人生でいいのか。一度は県外に出て、違う分野に挑戦してみたい」

 そんな思いが募ってきたころ、内閣府が主導する「プロフェッショナル人材戦略プロジェクト」に関わる人材紹介事業者と出会った。仕事探しの対象地域は、健在の両親が暮らす徳島に近い四国地方と中国地方にした。橋渡し役の人材紹介事業者が多種多様な企業・団体と引き合わせてくれ、それと並行して自分にあう勤務地や待遇はどれなのか条件を整理してみた。

 重要視したのは3つ。(1)キャリアを生かせる人事や総務、経理などの仕事(2)家族と暮らせる収入(3)住居・教育面での移住者に対する行政の補助――だ。これに合致したのが高梁市の中村建設だった。総務系という仕事内容が希望と適合した、賃金など待遇面で希望を満たしていた、住宅費補助など移住者に対する市の支援策が充実していたからだ。

 中村建設は県内有数の総合建設会社(ゼネコン)だ。建築、土木、電気設備など事業分野は幅広く、それぞれで県内のトップクラスの実績を持つ。売上高は右肩上がりで、100億円の大台を超えてきたところだ。

 だが中村浩巳社長から見れば「体は大きくなってきたが、着ている服は小さいまま」。会社の急成長に社内体制が追い付かず、幅広い業務をマネジメントできる実務者の確保が急務だった。

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