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ピアニスト山田磨依 美しく香るフランス伝統音楽

2018/6/2

ピアニストの山田磨依さんがフランスの作曲家ジャン=ミシェル・ダマーズ(1928~2013年)作品の演奏で第一人者の地位を築きつつある。2017年12月にダマーズの曲を中心にしたデビューCDを出し、ソロ公演にも乗り出した。ダマーズの源流、クロード・ドビュッシー(1862~1918年)の曲も得意とする。ドビュッシー没後100年、ダマーズ生誕90年の今年、近代と現代のフランスを象徴する作曲家2人について語る。

美しい旋律と分かりやすい構成。明瞭な和声感と色彩感。繰り返し聴きたくなる心地よい響き。どこか懐かしい雰囲気。19世紀後半の音楽かと感じられるこうしたピアノ曲を書いたのが、つい最近まで存命だった現代の作曲家ダマーズだ。

フランス音楽の伝統を引き継ぐ貴重な現代作曲家

ダマーズの親しみやすいピアノ曲がほぼ半分を占める山田さんのデビューCDはその名もずばり「ダマーズ生誕90年によせて」(発売元ソナーレ・アートオフィス)。1曲目「ソナチネ」ではドビュッシーの「ベルガマスク組曲」の「パスピエ」にも似た心和む旋律がいきなり聴ける。「出現」「夜明け」「序奏とアレグロ」と続くダマーズのピアノ曲はいずれも印象派をはじめフランス近代絵画のイメージを醸し出し、フォーレ、ドビュッシー、ラヴェルら19世紀後半以来のフランス音楽の懐かしい響きを現代作品として今に伝える。

CDデビューに続き、山田さんはダマーズの誕生日にあたる1月27日、ルーテル市ケ谷ホール(東京・新宿)で「山田磨依ピアノ・リサイタル」を開き、ダマーズをはじめCDに収めた曲を中心に演奏を披露した。日本でダマーズはまだほぼ無名の作曲家といえる。

ピアニストの斎藤雅広氏は学生の頃にラフマニノフを弾くと教師から「ポピュラー音楽はまた今度ね、と言われた」と語っていたが、かつてのラフマニノフやサティをはじめ、ポピュラー音楽とも捉えられかねない近現代の作曲家が後に高く評価され、人気も認知度も上がるという前例がある。ダマーズもそうなる可能性がある。その伝道者として若手ピアニストの山田さんが注目され始めている。

「父はアマチュアのフルート吹きで、私が小さいときにずっと家でダマーズの曲を吹いていた」と山田さんは語り始めた。「ダマーズは私が最初に触れたクラシック音楽。そこから始まった」。前衛でも難解でもない「現代音楽」のダマーズからスタートした希少なピアニスト。だから彼女は現代の音楽から源流のドビュッシーやラヴェルを訪ねて遡行していく。

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