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BTS(防弾少年団) 米ビルボード1位までの歩み

日経エンタテインメント!

2018/6/5

赤字は日本での出来事、黒字はそれ以外のことを表す。

韓国でのデビューミニアルバム『2 Cool 4 Skool』(13年)から3作目までは「学校3部作」と呼ばれ、ヒップホップ色が全面に出ていた。ギャングスターラップに乗せ、10代の夢や幸せを歌った『No More Dream』では、「お前が夢見てきた自分の姿はどんなものだ?」と熱く問い掛ける。

それに続くのが、青春の美しさとはかなさを歌った「青春3部作」とも呼ばれる花様年華シリーズ。ミニアルバム『花様年華 pt.1』(15年)に収録する失恋ソング『I NEED U』では、ダンスポップチューンに挑戦。この楽曲は韓国の主要音楽サイトで軒並み1位を獲得するヒット曲に。その後に発売した2作品を合わせた、花様年華シリーズ計3枚の累計セールスは韓国で100万枚を突破し、彼らを一躍トップの座へと導いた。その勢いのままに15年には、初のワールドツアーも開催している。

16年にリリースしたのが、誘惑と戦う青年たちの葛藤と成長がテーマのアルバム『WINGS』だ。『Blood Sweat&Tears』(邦題『血、汗、涙』)などに加え、各メンバーのソロ曲も収録し、グループの幅を見せつける1枚となった。この作品は米ビルボードチャート26位に入り、K‐POPアーティストの最高位記録を更新。世界が彼らに注目し始めた。

■邦楽的&洋楽的な宣伝戦略

一方、日本では14年にデビュー。15年の5thシングル『I NEED U ‐Japanese Ver.‐』で初めて10万枚を突破し、初のアリーナツアーを開催するなど、徐々に支持を広げていく。しかし16年までは、EXOやiKONといった同世代と共に、ブレイク期待の若手の1組だった。

そして17年3月にユニバーサルに移籍。ここから快進撃が始まる。ルックスの良さからくるアイドル的人気と、本格サウンドやパフォーマンス力を兼ね備えた彼らの持ち味を生かし、“邦楽的”と“洋楽的”な両面からプロモーションを展開したことが功を奏した。

まず邦楽的アプローチとして、本人たちのメディア露出の拡充を図る。「それまではCDセールスが同程度のアーティストに比べ、BTSは日本でのテレビ出演が少なかったというデータもあり、一般層に知ってもらう機会を増やそうと考えた」(ユニバーサル宣伝担当者)という。

そこで5月の移籍第1弾シングル『血、汗、涙』に向け、2月の韓国でのライブに、テレビのプロデューサーや雑誌の編集長らを招待。彼らのパフォーマンス力の高さを体感してもらったという。その結果、5月上旬に朝の情報番組である『スッキリ』(日本テレビ系)と『めざましテレビ』(フジテレビ系)への出演が決定。トークだけでなく、歌も披露する時間も獲得している。さらに雑誌では、6月に『an・an』、11月には『non‐no』(増刊)の表紙を飾った。

6月2日には、大阪で『吉本新喜劇』にゲストで出演。その夜には、甲子園球場での阪神戦で始球式を務めた。「彼らはファンを喜ばせることをまず第一に考えています。米ビルボード上位に入るクラスながら、今でも熱心に握手会を開いてくれる稀有(けう)なアーティストです」(宣伝担当者)。

■海外の大物DJとコラボも

同時に、洋楽的なアプローチとして海外での実績を材料に、本人稼働がなくても、その存在をアピールすることにも注力する。すると17年は、米ビルボードチャート7位の記録など、1年を通してワールドクラスの偉業が続いたことが後押しとなり、新たなファン層へと浸透していったという。

5月には現在1300万人のフォロワーを誇るツイッターなどが評価され、「ビルボード・ミュージック・アワード」で、トップソーシャルアーティスト賞を獲得。9月には、コールドプレイの楽曲も手掛けるDJユニットのザ・チェインスモーカーズと、11月には米国の人気DJスティーブ・アオキと楽曲でコラボレーションを果たした。

また同じく11月には、「アメリカン・ミュージック・アワード」に韓国人アーティストとして初めて招待され、パフォーマンスを披露。「世界を驚かせる活躍や、海外の大物アーティストとのコラボレーションが続いたことで、J‐WAVEなどでも曲が流れるようになり、洋楽ファンにもリスナー層が広がりました」(宣伝担当者)。

年末には、約1カ月間「SHIBUYA109」のシリンダー広告(外壁の巨大パネル)となり、8階のポップアップストアには彼らの限定グッズが並んだ。17年には欅坂46、TWICE、安室奈美恵らが同様の展開を行ったが、SHIBUYA109エンタテイメントの丸山康太氏は、「欧米など海外の方も多数来てくださり、グッズの売り上げは17年で1位となりました」と言う。

日本国内でもトップアーティストの座を築きつつあるBTS。米ビルボード1位の実績をバネに、さらにステージを上げていきそうだ。

(ライター 中桐基善)

[日経エンタテインメント! 2018年5月号の記事を再構成]

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