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アマゾン川の豊かな伝統の味 ベレン料理を赤坂で食す

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NIKKEI STYLE

シビレるハーブに毒抜きしたイモを使ったスープや煮込み……。 そう聞くとなんとも恐ろしげだが、食べてみると滋味あふれる味でクセになる。そんな刺激的でエキゾチックな食文化を持つのはブラジル・ベレン。アマゾン川の河口付近に位置する、人口約180万人のブラジル北部の主要都市である。

肥沃なアマゾンが育んだ多彩な食材に、先住民たちの伝統的な調理法が加わり、さらにアフリカ移民やポルトガル移民の影響も受け、この地独特の食文化が発達したという。ベレン料理は、分かりやすく言えばアマゾン料理となるか。そして、このベレン料理を日本で唯一食べられるのが、東京・赤坂にあるブラジル料理専門店「ブラジリカグリル」だ。

「生まれ育ったベレンの料理を日本に紹介したいという思いはずっとありました。それが、2015年にベレンが『ユネスコ食文化創造都市』に認定され、2017年11月に世界中の食文化都市が集まる会議がベレンで開催されたのをキッカケに本格的に動き始めました。現地の食材を輸入するのに検疫などの大きな壁がありましたが、各機関の許可も下り、この5月から提供できるようになったのです」と語るのは同店を経営するアイピーシー・ワールド社長の村永裕二さん。

食文化創造都市とは、グローバル化が進み、固有の文化の消失が懸念される中、都市に根付いた文化の多様性を保持しようとする「ユネスコ創造都市ネットワーク」の枠組みの1つ。都市間でパートナーシップを結び交流することで文化産業が潜在的に有している可能性を最大限に発揮させようという目的がある。食文化や映画、音楽、デザインなど7つの分野があり、食文化では26都市、日本では山形県鶴岡市が登録されている。

同店は2015年にオープン、串に牛肉や豚肉、鶏肉を刺して炭火でじっくり焼き上げたブラジル式バーベキュー「シュラスコ」で有名だ。元サッカー日本代表のラモス瑠偉さんほか日本在住ブラジル人も多く訪れる。

ベレン料理は先住民らの昔ながらの知恵が詰まった伝統料理である。と同時にブラジルのガストロノミー(美食学)界の最新トレンドでもある。

「ブラジルではミシュランの星を取っているレストランの料理人がよくベレンに行って食材探しをしていますよ。ブラジルのほかの地域では見たこともない野菜や果物、魚介類がいっぱいありますから」というのは同店のシェフ、サンパウロ生まれのカルロス・アウグストさん。

ブラジルでは2015年から「ミシュランガイド リオデジャネイロ&サンパウロ版」がリリースされている。南米大陸としては初のミシュランガイドである。そして、ブラジルで初の二つ星を獲得し、世界のベストレストラン50にも選ばれるサンパウロのレストラン「D.O.M」のシェフも確かにベレンに足しげく通っているようだ。

私は4年前にブラジルのお隣の国、ペルーに住んでいた時期があり、その間にサンパウロの友人を訪ねたことがあった。そのときに「ペルーは最近、『美食の国』として注目を浴びていて、南アメリカ大陸で唯一、料理の最高教育機関『ル・コルドン・ブルー』があるのよ」と説明した記憶がある。

が、今やサンパウロやリオデジャネイロにも「ル・コルドン・ブルー」が開校しており、美食においてペルーはブラジルに追いつかれてしまった。いや、ペルーではミシュランガイドが出版されていないので、「ん? もしや追い越されてる?」という気さえする。

そんな美食熱に沸くブラジルで話題の料理と聞けば、ますます興味が高まってくる。

さて、ベレン料理のもっとも代表的な料理は「タカカ」というスープと、「パット・ノ・トゥクピー」というアヒルの煮込み料理である。どちらの料理もキャッサバとジャンブーという野菜が欠かせない。

キャッサバはそのままだとシアン化合物という猛毒を含むイモで、加熱などの適切な処理をして毒抜きすることが必要。日本ではあまりなじみがないように思えるが、実はその加工品は日本でも過去に大流行したことがある。アジア発のデザートやドリンクに使われるタピオカである。

キャッサバをすりつぶして沈殿させたものがタピオカ粉。アジアのデザートに使われるタピオカは、タピオカ粉を加工して白い半透明の粒状にしたもので、アジアではタピオカパール、ブラジルではサグーと呼ばれている。タピオカ粉はブラジル全土で料理によく使われる食材。クレープ状に焼いてチーズや砂糖をはさんで食べたり、あるいは「ポンデケージョ」というチーズ入りのパンにしたりする。

ベレンではこのタピオカ粉を作る精製過程でできる「上澄み液」をそのまま、あるいはそれを発酵させてビネガーにしたものをよく使う。また、キャッサバの葉っぱも煮込んで食べる。これらがブラジルのほかの地域と大きく違う点だとか。

ジャンブーはキク科の植物で、和名はオランダセンニチ。これは三叉(さんさ)神経に働きかけ、舌がしびれるような感覚をもたらすエスピラントールという成分を含む。わさびやサンショのように料理にピリリとアクセントをつける野菜として使われるという。

代表的料理の1つ「タカカ」は、キャッサバビネガーにドライシュリンプとジャンブーを合わせてスープにしたもの。

スープは酸味がここちよく、体力が奪われそうな熱帯の気候でも元気になれる味。ジャンブーは「シビレる」という、今までにない味覚というフレコミだったが、確かに「辛い」でも「苦い」でもない。味わったことのない味覚だけになんと表現してよいのか迷うのだが、まあ確かに「シビレる」というのが当たっている。とにかく不思議な味というか刺激だった。

「パット・ノ・トゥクピー」は、キャッサバの搾り汁とビネガーを煮立てたもの(これをトゥクピーと呼ぶ)でアヒル肉を煮込んだ料理。これにもジャンブーが添えられている。

黄色いトゥクピーに緑のジャンブーがブラジル国旗の色の組み合わせのようで、見た目にも美しい。スープはアヒル肉のだしとほどよい酸味が効いていて、肉はスプーンでほぐれるくらいにホロホロで文句なくおいしかった。

また、キャッサバの葉、マニバをつぶして1週間かけて煮込んだものに、牛肉の塩漬けやベーコン、ソーセージなどを加えてさらに煮込んだ「マニソバ」もこの地の名物料理。ご飯にかけて食べる。干し草のような、お茶殻のような、今まで食べたことがない味なのだが、素朴でなつかしい味がする。

それと珍しい食べ物としては、クプアスという果物。これはビタミンCと鉄分が豊富で、現地では「神の果物」と呼ばれているとのこと。「ブラジリカグリル」では白身魚のソースとデザートの2品に使われていて、ヨーグルトのようなミルキーさと酸味があって、これは美味!

日本でも話題になったスーパーフード、アサイーもベレンのあるパラー州が一大産地。アマゾンに自生するフルーツだが、最近では「アグロフォレストリー(自然の森に近い状態で果物などを栽培する農業)」で栽培されている。

デザートにアイスクリームのアサイーソースがけをいただいた。私が今まで知っていたアサイーは紫色だったが、こちらは黒っぽくてまるでチョコレートソースのよう。長時間煮詰めているからとのことで、味もチョコレートのようにコクがあり、とてもおいしかった。

アマゾンの料理というと「ゲテモノ」的なものをイメージするかもしれないが、まったくそんなことはない。発酵文化や、命を余すことなく食べる精神は日本料理とも共通するものがあって、むしろ親しみさえ感じた。

日本でも毒のある「こんにゃくイモ」をなんとかして食べようとした先人がいて我々は「こんにゃく」が食べられる。また、日本人も「サトイモの茎」を干した「いもがら」を食べる。

日本とブラジル、地球の反対側だけど、「なんとかして食べよう」「余すことなく食べよう」という食いしん坊の執念は同じなのだなと思った。

(ライター 柏木珠希)

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