初めての無線イヤホン 6つの装着法、どれが好み?
今さら聞けないBluetoothイヤホンの基礎知識(上)
今、無線で音楽が楽しめるBluetoothイヤホンが売れている。調査会社GfKによると、ステレオヘッドホンにおけるBluetooth対応製品が占める割合は2016年が7%だったのに対して17年は17%まで増えている(数量構成比)。これから、イヤホンを購入するなら断然Bluetoothのワイヤレスイヤホンがオススメ。その魅力、どんなタイプがありどんな人に向いているのか、そして1万円以下で買えるお薦め機種を2回に分けて紹介しよう。
ケーブルのない自由さが魅力
Bluetoothイヤホンのメリットは、ワイヤレスで自由に動き回れることだ。例えば、机の前に座ってパソコンで音楽を聴いているときに、離席するたびにイヤホンを外すのは面倒だが、ワイヤレスならその必要はない。最近の製品であれば、10メートルくらいは電波が届くので、部屋の中を自由に動き回ることも可能だ。
ケーブルが荷物に絡まないというのもメリット。満員電車の中などだと、自分の荷物だけでなく、他人の荷物にまで絡んでしまうことがあるが、ワイヤレスであればその心配がない。音楽を再生しているスマホなどを入れたかばんを網棚に置くこともできる。
邪魔なケーブルがないので、運動中のリスニングにも適している。特にケーブルのタッチノイズがないため、ランニングにも最適。運動中に音楽を聴きたい人にお薦めだ。
ハンズフリー通話ができる点も魅力だ。最近のBluetoothイヤホンは、ほぼすべての製品がスマホの通話に対応しており、音楽を聴いている途中でも着信を受け、そのままフリーハンドで通話できる。着信を受け、慌ててスマホを手にする必要がないのは、実際のところなかなかに快適だ。
とはいうものの、Bluetoothイヤホンは音質が悪いのではないかと不安になるかもしれない。だが心配は無用。最近の製品は、スマホなどからイヤホンへの音声データ伝送にはオーディオデータ伝送用プロファイル「A2DP(Advanced Audio Distribution Profile)」を用いている。A2DPでは、送信側のスマホなどの機器で音声データを圧縮、伝送後に受信側のイヤホンで音声データを復号して再生する。これにより音質は急速に上がっている。
ここ数年で急速に高音質化
音質を左右するのはコーデック(圧縮方式)とBluetoothの伝送速度だ。なお、Bluetoothイヤホン=音が悪いという印象が定着したのは、Bluetooth登場当時にはオーディオデータ伝送用のプロファイルA2DPがなかったことと、A2DPが策定された後も、Bluetoothの伝送速度の問題から、伝送ビットレートを落とさざるを得なく、音質を追求した製品が作れなかったからだ。現在ではBluetoothの伝送速度と安定性もアップ、メーカーの技術力も向上したうえ、高音質コーデックなども導入されたことにより、高音質の製品が多数登場している。
現状、コーデックは、A2DPの標準コーデックの「SBC」のほか、「AAC」「aptX」「aptX HD」「LDAC」などがある。それぞれの特徴は図の通り。高音質にこだわるならaptX以上に対応したものが狙い目だ。なお、コーデックは音楽再生機器、イヤホンの両方が同じものに対応している必要がある。その点は留意しておきたい。
6タイプから何を選ぶか
Bluetoothイヤホンには、大きく分けて、「完全分離型(完全ワイアレス型)」「オーバーヘッド型」「左右一体型」「ネックバンド型」「BOX型」「片耳型」の6タイプがある。それぞれに長所、短所があるので、自分の用途に適したものを選びたい。
完全分離型は耳に挿し込む部分が2個でセットになっていてケーブルが一切ない。ワイヤレスイヤホンの究極ともいえるカタチだ。ケーブルから完全に解放されたい人に向いている。比較的高価なうえ、小さくなくしやすいなどが難点だ。
オーバーヘッド型は、音質を追求したモデルが多いのが特徴。音漏れが少なく、外部の音も聞こえにくいので、音楽に没頭したいという人に向く。大きいので持ち運びしづらいのがデメリット。
左右一体型は、軽量で扱いやすいのが特徴。低価格のものも多いので、手軽に扱える製品が欲しいという人に向く。ただし、コントローラーが小さく操作しづらい製品が多いのが難点。
ネックバンド型は、安定した装着感が得られ操作性が良いのが特徴。多少激しく動いても耳から外れないイヤホンが欲しいという人に向く。左右一体型と比べるとかさばる点と首に若干ながら負荷がかかることがデメリットといえる。
BOX型は、コントローラーが大きく操作しやすい点がメリット。半面、ポケットに入れるなど、コントローラーの扱いを考えなければならない点がデメリットだ。
片耳型は、通話に適したモデルで、音楽再生には不向きなものが多い。通話をメインに考えている人向けだ。
付加機能にも注目しよう。電車の中など騒音の大きい場所で音楽に集中したいという人は、「ノイズキャンセリング」機能の有無が使い勝手を左右する。また、ランニングなどの運動中の使用を考えている人は、汗や雨による故障を防ぐ、防水機能の有無に注目しよう。防水性能のレベルは、IPX4、IPX5などの規格表示で確認できる。
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後編「予算1万円以下 この夏買いたい無線イヤホン12選」では、完全分離型4モデルも含んだ、予算1万円で買えるお薦めモデル12機種を紹介する。
(文 滝伸次)
[日経PC21 2018年6月号の記事を再構成]
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