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企業の稼ぐ力、市場が再評価へ 今期上方修正の余地

2018/6/3

写真はイメージ=PIXTA

 3月下旬から戻り歩調にあった株式相場は、米朝首脳会談を巡る混乱や米国の自動車の輸入関税引き上げ方針を受けて調整している。一方で日本企業の業績拡大に対する投資家の期待感は崩れていない。業績予想の前提となる円相場を実勢より高めに設定する企業が多く、今後の上方修正余地が残る。株式市場では、今後の国際情勢を見極めながら、再び業績相場に戻るとの見方が出ている。

 日経平均株価は5月21日に2万3000円を回復した後、トランプ米政権の強硬な保護貿易策などへの懸念から調整し、同25日の終値は2万2450円となった。それでも3月下旬につけた安値(2万0617円)と比べると約1800円高い水準にある。最大の理由が企業業績だ。

 上場企業の2018年3月期は純利益が前の期比35%増と、2年連続で過去最高を更新した(グラフA)。19年3月期については、原油など資源高や米中貿易摩擦への懸念などから今のところ2%の減益を見込んでいるが、日本企業の稼ぐ力は衰えていない。

 前期の増益分のうち6%程度、2兆円近くは、米国の法人税減税に伴う会計上の利益押し上げ要因による。その要因を除いて比べると今期は3%程度の増益となる。経常利益は1%増の予想だ。全体の約6割の企業が増益を見込み、2割は最高益を想定する。

■想定為替レート105円多く

 通期予想の前提となる為替相場を慎重にみる企業が多いゆえに、減益予想となっている面もある。前提を1ドル=105円より円高水準とする企業が全体の6割にのぼる。ファナックや日本電産、コマツなど100円に設定する企業も少なくない。

 米国では長期金利が5月中旬に再び3%を上回り、日米金利差の拡大から円売り・ドル買い要因となっている。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の芳賀沼千里チーフストラテジストは「景気回復や賃金上昇を伴う良い金利上昇となっており、ドルが買われやすい展開が続く」とみる。

 今期の注目業種は「選択と集中が奏功した電機」(野村証券の海津政信シニアリサーチフェロー)との指摘が多い。中でも半導体製造装置や電子部品は、中国などアジアの産業高度化による需要拡大が見込める。

 海津氏は「DRAMは需要増に加え利益率も高い。フラッシュメモリーの需要も回復基調にある」と指摘する。東京エレクトロン、SCREENホールディングスなど関連企業は今期も好業績が続く見通しだ。

 軒並み減益を予想する自動車大手については、電気自動車用の電池技術に注目が集まる。短時間充電で長距離走行が可能な全固体電池が実用化に近づくか。電池開発で協業するトヨタ自動車とパナソニックへの関心が高い。

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