マネー研究所

Money&Investment

介護や治療に悩んだら…自治体の支援センターで相談

2018/6/2

写真はイメージ=PIXTA

「公的介護保険の利用法がわからない」「親の認知症が進み、心配だ」。こんな疑問や悩みを持つ高齢者やその家族は少なくありません。全国各地には相談窓口として「地域包括支援センター」という機関があり、専門家らが相談に応じています。どんなことを相談できるのか知っておくとよいでしょう。

地域包括支援センターは、介護保険法の改正により2006年度から全国の市区町村が設置することになった機関です。高齢者の介護、福祉、医療、保健について相談に応じるのが主な役割です。

住民の利便性を考えて中学校の学区域ごとなどに設けるとしています。06年に3436だったセンターの数は17年に5041まで増えています。設置場所は自治体に問い合わせればわかります。高齢者施設や病院の近辺で見かけることもあります。

市区町村が直接運営するセンターは全体の24%です。残りは主に社会福祉法人、社会福祉協議会に委託しています。委託先の中には少数ですが株式会社もあります。直営と委託で業務内容に違いはありません。

センターには3つの資格者を配置する必要があります。福祉全般の相談を受ける社会福祉士、介護プランを作成・指導する主任介護支援専門員(ケアマネジャー)、予防プランを作成する保健師です。3者がチームを組み、高齢者のさまざまな疑問や悩みに対応します。

■介護保険の利用法助言

センターへの相談件数はこのところ年間1000万台と高水準です。特に目立つのは、介護保険制度についての相談です。介護保険は、要介護認定などの申請手続きをしないと利用できません。そうした「基本的な仕組みを知らない人が多い」と神奈川県川崎市のしゃんぐりら地域包括支援センター長の山崎智美さんは言います。

明らかに要介護認定の申請が必要な場合、申請手続きやケアプラン作成を担当する居宅介護支援事業所を紹介してくれます。センター固有の介護関連業務もあります。要介護や要支援ではないものの、予防しないと要介護の状態になりそうな場合、予防プランを作成したりします。

認知症などで判断能力が低下し、身の回りのことや財産管理ができなくなった高齢者には、成年後見制度を紹介します。利用の申立先である家庭裁判所に提出する書類の書き方も指導します。

センターは相談者の問題解決に適切な機関を紹介するために、地域の介護施設や医療機関、ボランティア団体といった組織とのネットワーク作りを進めています。

税金や社会保険料など、社会保障制度を支える財源が不足する中で、政府は地域包括ケアシステムという構想を推進しています。地域ごとにあるさまざまな機関や組織を有効に活用し、域内で介護や福祉を助け合う仕組みを目指しています。

ネットワークを持つ地域包括支援センターは「地域の福祉を担う中核的な機関となる」と山崎氏はみています。センターへの相談はすべて無料です。高齢者やその家族は、身近な相談先として活用するといいでしょう。

[日本経済新聞朝刊2018年5月26日付]

マネー研究所 新着記事

ALL CHANNEL