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株式・投信
投資道場

2018/5/29

投資道場

銀行・不動産、石油化学株に期待感

――タイの株式市場の注目点は何ですか。

「タイのインフラは今後も成長していくと見ており、投資対象業種と考えられる。例えば銀行株は融資拡大で収益が伸び、不動産株は成長見通しに対して株価が割安だ。石油化学はインフラ業種であると同時に、大型M&A(合併・買収)による効果も期待できる。これに観光株を加えた業種には強気の投資判断をしている。アユタヤ銀行グループの証券会社によると、年末のSET指数は1850(5月25日時点で1741)に上昇するとの予想だ」

「経済特区の『東部経済回廊(EEC)』や『タイランド4.0』に代表される国の経済改革も進み始めている。時間はかかるが、質の高いインフラが経済成長を後押しするだろう」

――考えられるリスクは何ですか。

「先進国の急速な利上げ、中国による急速な投資の絞り込み、世界貿易摩擦や保護主義の広がりだ。また国内要因として政治の衝突、投資減速、高齢化など多くの問題を抱えている」

――米利上げの影響は出てきそうですか。

「速すぎるペースの利上げは過度な金融引き締めとなり、世界の金融市場や経済活動に悪い影響を与える。一方、新興国からの資金流出でタイの通貨バーツが下落すれば、輸出の拡大につながる。タイ中央銀行はぎりぎりまで政策金利を維持するとみており、バーツは米ドルに対してさらに下げる余地がある」

ソムプラウィン・マンプラサート
 アユタヤ銀行チーフ・エコノミスト。チュラロンコン大学経済学部准教授を経て、2016年より現職。国家の経済政策にかかわった経験もある。専門はマクロ経済学、産業間モデル分析。

記者の目

タイは1997年のアジア経済危機の震源地で、通貨急落が経済の大混乱を引き起こした。それから20年。外貨準備高は大幅に増え、経済の脆弱さはだいぶ解消された。同国の経済がマネーに翻弄される度合いはかなり小さくなったと言っていい。

だが今度は内なる問題を抱えている。高齢化が進んで人口増加ペースに歯止めが掛かる見通しで、フィリピンやインドネシアなどに比べると経済成長率は低い。テコ入れとなる国家戦略計画で「1人当たりGDP1万5000ドル」「GDP成長率5~6%」を掲げ、自動車や航空、ロボット産業の育成を目指す「タイランド4.0」を推進している。国際競争力のある産業を育成できるかが今後の経済成長の伸びを左右し、同国株式の投資魅力にも跳ね返ってくる。

アジアの個別株式に関心を持つ、投資経験が高めの個人投資家は、まずはインフラ関連株に注目。その上で経済の発展度合いに応じて、製造業やIT産業の銘柄に目配りする姿勢が望ましいだろう。

(マネー報道部 南毅)

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