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なやみのとびら、著名人が解決!

社会人の息子の世話をやいてしまいます 脚本家、中園ミホさん

2018/5/31

脚本家。東京都生まれ。TVドラマ「Doctor-X 外科医・大門未知子」「花子とアン」や「ハケンの品格」を執筆。NHK大河ドラマ「西郷どん」の脚本を担当

 社会人になった息子の世話を焼いていないと安心できません。毎日の食事、お弁当、着替えの洗濯、アイロンがけまで、すべてしてやらないと自分が不安になってしまいます。子離れ親離れができていない焦りもあるのですが。(北海道・女性・50代)

 うちもこうだったので身につまされます。社会人の息子につい、ご飯を食べたか聞いてしまうんです。食べてないと、本当に忙しいのにつくっちゃう。何から何まで世話した後で、こんなことでは一人前にならないじゃないかと反省しました。でも目の前に息子がいると何でも先回りして、転ばぬ先のつえみたいなことをしがちですよね。

 ただ、すべてやらないと不安だというのは問題かもしれません。本当に焦っていたら「もう自活しなさい」と突き放すでしょうが、それではあなたの生きがいがなくなってしまいます。

 決して本人のためになっていないことも自覚した上でやってしまうということは、やっぱり「自分のため」ですよね。今の日本はこういう母親が多いかもしれません。そして、いつか息子に幻滅されるんです。

 私、マザコンの男の人って好きなんです。優しいでしょう。情緒豊かで愛情深い人なら、人生で最初に出会う異性である母を大事にするだろうし、それのどこが悪いの、とは思います。

 でも、こういう人は「お母さんがかわいそう」と言って結婚しないですよね。そうなると孫も見られない。それはお母さんにとって、幸せだけど不安だと思います。息子を後に残して死ぬ時もすごいつらいでしょう。そうならない練習を早く始めないといけないですね。

 アイロンはかけない、洗濯しない、お弁当もつくらない、と少しずつやっていくのはどうでしょう。いきなり全部やめるとつらすぎるし、時間も持てあましてしまう。月並みですが、ちょっとずつ距離を置いていったらいいんじゃないでしょうか。これは心を鬼にしてやらないとできないし、バツっと断ち切るのはお勧めしません。飲んだくれたりしそうで怖いですよ。

 何かこれからやっていくものを見つけるとか。息子にかけていた時間を少しずつ社会に還元するとか。こういう手助けを求めている人は、お年寄りなどたくさんいると思います。

 うちでは私から「出て行け」と言いましたが、生木を裂くようなつらさでした。でもこういう焦りを感じるのは、それまで一緒に過ごした時間が幸せだったということですよね。子育てさせてもらった時間に感謝して……。母親って、ある程度は皆そうなんじゃないでしょうか。

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[NIKKEIプラス1 2018年5月26日付]

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