Men's Fashion

ビジネスマンよ、「スーツに白スニーカー」を恐れるな

石津祥介のおしゃれ放談

2018.6.16

1960年代に大ブームを巻き起こしたヴァンヂャケット、「VAN」。創業者、石津謙介さんは米国アイビーリーグの学生のスタイルをお手本に、時と場所と場合(TPO)で「男の服はこうあらねばならない」と提案した。謙介さんの長男でともにVANを引っ張った業界の重鎮、服飾評論家の石津祥介さん(83)はファッション情報が氾濫するいま、「間違ったメンズスタイルが気になって仕方ない」という。そこで、伝統とトレンドを知り尽くした祥介さんに、おしゃれの手ほどきをお願いした。

今回のテーマは「スニーカー通勤、どうあるべきか」。回答は明快だ。「ビジネスマンよ、白スニーカーを恐れるな」

アイビーの象徴、ボタンダウンを味わい尽くそう>>




――通勤時のウオーキングなど健康のためのスニーカー通勤が奨励されて、百貨店でもずいぶんとスニーカーが目につくようになりました。

「先日とある百貨店に行ったら紳士靴売り場ににわかにスニーカーが増えていたよ。だけど、ほしいものが全然ないの。スポーティーな安いものは皆無で、2万円以上する革製スニーカーばかり。色も黒と茶がほとんどでした。持ってみると僕の革靴よりも重いんだよ。なんのことはない、今までの革靴がスニーカーの形になっているだけでしたよ」

――ビジネスシューズの延長上ととらえて、黒や茶の革スニーカーなら男性は抵抗なく買ってくれると踏んでいるのでしょう。

「『そのほうが売れるし、単価が高いから売り上げに貢献するだろう』との発想が間違い。だから百貨店のスニーカー提案はだめなんだ。今までのビジネススタイルに合わせる革靴の発想から抜け出して、スニーカーを選んでほしい。そもそもスニーカーは快適だから履くのです。重い革製でおとなしい色を選んでは本末転倒。軽快さもない。そもそも1万円以下のスニーカーで十分おしゃれにみせられるんです」

――となりますと、挑戦すべきは……。

「いいかい。まずは白だ。白で目を引くのです」

ラコステのシアサッカーのジャケットにニットタイを合わせた。足元はコンバースでぴたり