Men's Fashion

無難なスーツではつまらない 人とは違う個性を見せろ

リーダーが語る 仕事の装い

藤田観光社長 瀬川章氏

2018.6.24

ホテルマンという仕事は服装、立ち振る舞いに視線が集まりやすい。厳しい服装規定を設けるホテルも多いが、ホテル椿山荘東京やワシントンホテルなどを運営する藤田観光社長の瀬川章氏(63)は「ルールを守りながらも個性を埋没させてはならない」と明言する。ファッションで遊ぶ「ゆとり」が、生活の豊かさを提供するホテル業には必要だと考えるからだ。「他の人とはちょっと違う『印象付け』がプラスにもなる」。服装の転機は40歳代の銀行員時代。イッセイミヤケとの出合いが装いに強い関心を持つきっかけとなった。




――日本興業銀行(現みずほ銀行)に30年以上勤務されました。金融機関はダークスーツばかりといった印象があります。

「確かに若いころはクールビズもウォームビズも始まっていませんでしたし、ダークスーツが基本でした。ファッションへのこだわりはなく、『服選びは面倒』と、関係の深い百貨店が夏と冬にやる社販(社内販売)イベントで買っていました」

■40歳代でファッションに目覚める

「意識するようになったのは、渋谷支店に勤務していた40歳代のときでした。イッセイミヤケとアルマーニの担当になったからです。取引先である両社からすすめられてスーツを試してみました。そのころ体重が80キログラムあり、今よりかなり体が大きかった。アルマーニで体形に合わせると袖が長すぎました。イッセイミヤケメンは肩も腕周りもゆったりとしていて、既製服ながらぴたりと合いました。しばらくは春夏、秋冬にそれぞれ10着ずつイッセイミヤケメンばかり着ていました」

「スーツ選びは生地の面白さに目が行きますね。体形に合うようパターンメイドで作ります」と話す瀬川社長(東京・文京のホテル椿山荘東京)