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19時前退社で「仕事力絶対に上げる」 三井住友海上

三井住友海上火災保険(上)

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NIKKEI STYLE

2017年4月から「遅くとも原則19時前の退社」ルールを実施するなど、働き方改革に取り組む三井住友海上火災保険。管理職比率の向上など女性活躍推進にも力を入れている。改革に取り組み始めたきっかけは金融業界が迎えている環境の変化だという。人事部の笠原直子課長と荒木裕也課長に現在の取り組み状況を聞いた。

女性社員の役割を変革

白河桃子さん(以下、敬称略) 平成29年度の「東京都女性活躍推進大賞」の受賞、おめでとうございます。選考理由にも挙げられていましたが、御社は19時前の退社ルール実施など働き方改革に取り組まれています。女性の管理職比率も高い。きょうはその秘訣をぜひ聞かせていただけますか。

笠原直子さん(以下、敬称略) 女性活躍推進の取り組みは06年から始めています。ただこのころは出産や育児との両立支援が中心でした。取り組みの内容が変わったきっかけが、09年度の業績悪化でした。

白河 改革を後押しする危機感があったわけですね。

笠原 はい。生産性の向上、競争力を高めるため、11年度から「役割イノベーション」という、社員の役割変革を開始しました。全社で最初の2年間で意識変革に取り組み、13年度に人事制度を改定しています。いわゆる総合職と一般職(キャリア職)の区分を、転居転勤の有無で「全域社員」と「地域社員」の区分にしました。

白河 女性はほとんど地域社員ですか。

笠原 はい。多くの地域社員が女性です。それまでの一般職はほとんどの人が昇進しても主任職まででしたが、この人事制度改定を機に、部長職まで昇進できるようになりました。

昇進の年次も早くなりました。以前の一般職(今の地域社員)は早くても主任になれるのは8年目からでしたが、一年ごとに一年ずつ昇進を早めて、16年度に初めて5年目で主任になる人がでてきました。

白河 女性は役割変革と同時に業務領域の拡大も求められるのですね。

笠原 そうです。営業部門でいいますと、それまで営業に行くのは男性で、女性はサポーター的な役割という分担でした。いまは営業の女性もいますし、両方できるという人もいます。少しずつ営業にシフト中です。12年度からは役割は同じということで採用を開始しており、新入社員研修では全域社員も地域社員も同じカリキュラムで受けてもらっています。

白河 サポート職はIT(情報技術)化で昔に比べると人数がいらなくなっていると思うんですけど、そういう方を営業部門に振り向けていく狙いもあったのでしょうか。

笠原 はい。営業に限らず、業務領域を拡大してもらうことを目指していました。

白河 大和証券でも女性社員の職種転換を始めたとき、すごく抵抗が大きかったそうです。やはり、そういう抵抗感はあるのでしょうか。

笠原 そうですね。営業職を志望して入社したのではない、営業よりも事務仕事のほうが得意なんだという人もいます。

営業職のインセンティブは無し

白河 営業になることによるインセンティブというか、報酬面ではどうなんですか。

笠原 給与は変わらないです。部門により担当業務は異なりますが、領域にかかわらず地域社員の給与体系がベースになります。

白河 給与体系のところまでは踏み込めていない。そういう意味では営業になってもあんまりインセンティブはないのですね。

笠原 営業だから給与が高いという制度にはなっていません。

白河 女性の管理職登用についても教えていただけますか。

笠原 14年に経団連のホームページに女性の管理職登用に関する数値目標を公表しました。14年度の女性管理職は120人でしたが2020年までに女性管理職を480人とすることが目標です。2018年4月現在で317人になっています。

白河 内訳を教えていただけますか。

笠原 執行役員1名、理事・部長19名になっています。それ以外が課長です。

白河 じゃあ課長職がたくさんいるということですね。

笠原 はい。課長は297名です。管理職を増やしていくにはライフステージに応じた両立支援が不可欠ということで、力を入れておりますのが育児休業の復職支援です。ワーキングママ支援プログラムというものを設けていて、妊娠の届け出があった社員を対象にさまざまなツールも提供しています。

自宅のパソコンから社内のシステムにアクセスできる環境を整備して、社内メールによるコミュニケーションを図ったり、eラーニングを提供したりしています。

最近では希望者を対象に、クラウドのシステムを使って、育児休業中にも臨時就業ができるという仕組みを試行しています。結果として2人目のお子さんの育児休業を取得する割合も増えるという結果が出ています。

19時前退社で自己研さんの時間を

荒木裕也さん(以下、敬称略) そして女性に限らず、「多様な社員全員の成長と活躍」を目指そうというのが2016年から取り組んでいる働き方改革です。全員が活躍するには「個人の力」と「組織の力」の両方が必要です。会社は社員に個人として自己成長してほしい。

ところが一部の社員は仕事が忙しくてそんな時間はつくれない。忙しすぎることが自己学習や自己研さんの足かせになっているケースがありました。これを解決するために働き方改革を進めています。また、限られた時間で生産性高く働くことで、時間に制約のある社員が活躍できる環境整備もその目的の一つです。

それまでも「ゆとり創造」というプロジェクト名で取り組んでいたのですが、16年10月に「働き方改革」と名前を変えまして、会社と社員が一体となってやりましょうと宣言しました。そして17年4月からは「遅くとも原則19時前に退社ルール」を開始しました。

白河 実際に早く帰られているのですか。

荒木 全店のパソコンデータで見ると、ログオフ時間は18時台になっています。残業時間も10%以上は減っています。弊社では個人と組織の両輪で働き方改革を進めるということを、強く言い続けています。個人は働き方改革を自分事にして、働きがい、健康、家族との時間、などを大事にしてくださいと。

白河 19時前退社というのはかなり思い切りましたよね。それ以前はどれぐらい残業していたんですか。

荒木 地域や男女別でいろいろと事情は違うのですが、男性の場合は遅いときは20時とか21時。月末や四半期ごとの区切りで重要な月については21時を超える場合もありました。

白河 働き方改革はどのような体制で実施されたのでしょうか。

荒木 人事部に働き方改革専門チームをつくりました。人事部員だけでなく、本社各部の企画セクションのライン長である、課長職もしくは部長職がその一員として兼務しています。

それまでは各部門のミッションに沿って、生産性を高めることを考えてきました。今回は全社横断のプロジェクトなので、新たな施策を、人事部の立場で考えてくださいと。

各部門のライン長が人事部を兼務するチームで

白河 社内副業みたいでおもしろいですね。あくまで兼務ですよね。

荒木 はい、兼務です。人事担当役員や人事部長と定例的に打ち合わせをするなど、コミュニケーションよく取り組み、社内で有機的に機能していると思っています。

例えば、働き方改革を実現するためにはIT関連の環境整備が必要でした。仮想デスクトップパソコンを全社員に配布する、全拠点を無線LAN化する、営業社員の社用携帯をスマートフォン化するなどです。軽量小型プロジェクターも全組織に配備し、完全ペーパーレス化を目指しました。保険業界だけに、情報セキュリティー上の制約は多いのですが、IT推進部門や総務部門の兼務メンバーが一緒になって考えてくれたことで実現しました。

白河 連携がすばらしいですね。組織のどこに働き方改革推進チームを置くかはどこの会社としても悩みどころです。全社を挙げて取り組まないと実現できないから、こういう組織にしたんですよね。しかし時間を減らすと売り上げが下がる懸念はありませんでしたか。

荒木 業務量(労働時間)を減らした結果、成果(売り上げや品質)も減るんじゃないかということが現場の心配でした。それに対しては「業務の効率性が高めることで、労働時間が減っても今まで以上の成果がついてくる」とこれを社内で言い続けています。

生産性の向上ではさきほど申し上げたPCの配備ですとか無線LAN化、それらをつかってペーパーレス化を取り組んでいきましょうと。特に会議は予算会議というものが多かったので、工夫を凝らすことで、会議の生産性を高めることが重要だということも伝えてきました。

白河 会議の生産性向上は重要ですよね。そして、ペーパーレス化。

荒木 会議はペーパーレス化し、時間をしっかり区切りましょう、ゴールをしっかり決めましょうと。あとはみんなで集まってやる会議が多かったんですね。そこを必要に応じて、一対一でやる打ち合わせに切り替えようとかですね。

白河 一対一でもいい、ということですね。

荒木 様々な取り組み、やり方が、職場ごとにありますのでそういったものを各ライン課長が考えて取り組んでくださいと。そのための必要なデバイスは整えますよということです。

あとは個人意識の改革で、社長のトップメッセージに始まり、「部支店マネジメント研修」を新たに実施しました。この研修はラインの部長からラインの課長に対して、19時前退社ルールの実行など、働き方改革の実行について説いてもらいました。生産性を絶対に高めるんだと。上司が部下に直接講義をするスタイルは、効果的だと思っています。

白河 数字を達成しなければいけないラインの部長に働き方改革を、特に19時に帰るなどの労働時間の短縮の重要性を、誰が説得したんですか。

荒木 経営トップのメッセージが重要です。全店部長会議というのを4月や10月という節目にやっています。そこで社長や人事担当役員が、全ての部長に対して、19時退社ルールを含め働き方改革の目的やその効果をしっかりと伝えています。まずは会社方針を出し、それを受けて、具体的にこういう取り組みが必要だという社内通達を出しています。

(次週公開の下編では19時前退社ルール実施後の現状、仕事の割り振りなど職場での対応、人事での評価、代理店との取り組みなどについてもお聞きします)

白河桃子
 少子化ジャーナリスト・作家。相模女子大客員教授。内閣官房「働き方改革実現会議」有識者議員。東京生まれ、慶応義塾大学卒。著書に「『婚活』時代」(共著)、「妊活バイブル」(共著)、「『産む』と『働く』の教科書」(共著)など。「仕事、結婚、出産、学生のためのライフプラン講座」を大学等で行っている。最新刊は「御社の働き方改革、ここが間違ってます!残業削減で伸びるすごい会社」(PHP新書)。

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