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次世代リーダーの転職学

転職でモテる「サーバント型」上司 部下育つ奉仕力 エグゼクティブ専門の転職エージェント 森本千賀子

2018/6/1

 彼はリーダーという立場に立ったことで、メンバーへの思いやり、面倒見の良さ、責任感の強さなど、本来の持ち味を発揮。メンバーもそれに応えるように、器用ではないリーダーを「自分たちが支える」という意識で行動しました。チームビルディングで成果を上げたA君は大きな成長を遂げ、後に部長のポジションにまで昇ったのです。

 新しいアイデアを考えることが好きなBさんには、「会議で取り上げるテーマの原案を考えてほしい」という役割を任せました。彼女にとってはやりがいある仕事なので、メンバーにプレゼンするときにはイキイキとした表情を見せ、参加メンバーもそのテンションに引っ張られて会議が活性化しました。

 このように、メンバーがやりたいことや得意なことをメインの担当業務以外の部分で任せることで、本人のモチベーションも周囲の評価も上がるケースがあります。特にチームや組織への貢献という観点でアサインすることも心がけました。まさにそのミッションが、メイン業務にもプラスに生きてきます。

(4)やり方は任せ、「自分でやり切った」感を持たせる

 仕事の進め方において、私は自分のノウハウを教えてまねさせるのではなく、本人がやりたい方法でやらせていました。他のマネジャーからは「甘いのでは」と言われたこともありましたが、そのほうが仕事を「やらされている」ではなく「やりたい」と感じられると思ったからです。

 特に社会人になりたての新人には、スタート時点で「仕事っておもしろい」という意識を根付かせることが大切だと思います。

 マネジャーから細かく指示を与えられれば、「それさえこなせばいい」という安心感はあるでしょうが、自分で考えることの思考が停止します。必死で考え、やってみる。自発的にやって成果を出すことができたら「ワクワク感」につながるのではないでしょうか。ワクワク感こそ、壁にぶつかっても乗り換えて、その先を目指すモチベーションを生み出すキーワードだと思います。

 私の場合は営業マネジャーでしたが、メンバーの営業に同行する際もあまり口をはさまず、本人がいつもどおり進めるのを見守るように心がけていました。途中、もどかしく感じる場面もありますが、本人のペースで進めさせ、注意事項は後でフィードバックするようにしたのです。

 あるメンバーからは、「営業の現場で、話を遮られることなく言いたいことを言い切ったから、自分の中で満足できていました。だから、後で注意されたことも素直に受け止めることができました」と感謝されたことがあります。

(5)失敗を許容し、「私が守る」というスタンスを見せる

 私はメンバーの失敗をとがめたり責めたりすることもあえてしませんでした。メンバーが失敗を恐れ、チャレンジしなくなることを防ぐためです。

 これは、あるメンバーから言われた言葉です。

「自分が『見守られている。許容されている』という安心感があったから、新しいことにチャレンジしてみよう、という気持ちになれました」

 組織で働いていると、「失敗したり叱られたりするのは怖いから、余計なことはしないでおこう」という自己防衛に走りがちです。でも、それでは成長を促せません。私の場合は、「思いついたことは、どんどんやっていい。それで失敗しても、私がすべて責任を取る。必ず私が守る」というスタンスでメンバーに接していました。

 人は「これはやめておいたほうがいい」と考えるときの脳と「これを試してみよう」と考えるときの脳を比べてみれば、分泌されるアドレナリンの質が異なっているのではないでしょうか。後者のほうが、きっと楽しいし、やりがいにつながると思います。

 マネジャーが、「失敗を許す、受け入れる」というスタンスを持つことで、メンバーの成長が促進されます。そうして、「指示だけこなす」のではなく、「自走できる」メンバーが育てば、結果的にマネジャーである自分も細かく指示を与える時間を省けて、付加価値の高い仕事にシフトできます。

 メンバーへの接し方で悩んでいる方は、こうした方法を試しながら、自分に向くマネジメントスタイルを探ってみてください。将来のキャリアアップにきっと役立つはずです。

※「次世代リーダーの転職学」は金曜更新です。次回は6月8日の予定です。この連載は3人が交代で執筆します。

森本千賀子
 morich代表取締役 兼 All Rounder Agent。リクルートグループで25年近くにわたりエグゼクティブ層中心の転職エージェントとして活躍。2012年、NHK「プロフェッショナル~仕事の流儀~」に出演。最新刊「のぼりつめる男 課長どまりの男」(サンマーク出版)ほか、著書多数。

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