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1階レジ前の特設平台に2冊並べて大量に展示する(八重洲ブックセンター本店)

1階レジ前の特設平台に2冊並べて大量に展示する(八重洲ブックセンター本店)

ビジネス街の書店をめぐりながら、その時々のその街の売れ筋本をウオッチしていくシリーズ。今回は定点観測している八重洲ブックセンター本店だ。ロングセラーがベストセラー上位に並ぶことの多い同店だが、訪れた日は4月下旬以降に発売された新刊が上位に並び、売れ行きを伸ばしていた。中でも書店員が注目したのは、銀行のこれからを詳しい取材をもとに展望した新書だった。

カウンターの消えた銀行支店

その本は浪川攻『銀行員はどう生きるか』(講談社現代新書)。著者の浪川氏は経済ジャーナリスト。金融専門紙などを経て「週刊東洋経済」などで金融分野を中心に取材、執筆し、今はフリーで活動している。その著者が「銀行員はこれからどう生きていけばいいのか」という問いに向けて、今、金融界で何が起きているのかを取材した本だ。

「はじめに」で著者が見せるのは、2017年9月にリニューアルした、あるメガバンクの店舗だ。その支店は高層ビルの11階にあり、おなじみのカウンターや窓口がない。もちろんカウンターの後ろに広がる事務フロアもなく、空間すべてが顧客フロアである。用紙もなければ印鑑を押す必要もなく、電子パネルに当てるだけでいい。支店長室さえなくて、支店長は百貨店のフロアマネジャーのようにロビーに立って来店客に気を配っている。顧客に向き合うフロント営業だけがあって、バックオフィスは、支店から切り離され統合された事務センターが担う。これがこれからの銀行を象徴する店舗だ。そこから、銀行業界全体に起こっている変化に目を転じ、銀行の未来、銀行員の働き方の未来を詳述していく。

米銀が指し示す銀行の未来図

未来を見通す上で、最も参考になるのは第3章で描かれる米銀の現状だ。「はじめに」で紹介したような店舗は米銀ではもはや当たり前になりつつある。むしろより小型で軽量な店舗さえ広がりつつある。忘れてはならないのは、そうした店舗が単に業務効率、コスト削減のためだけに広がっているのではなく、顧客満足度を高めるために広がっていることだ。コスト削減と顧客本位――この二兎を追うことが銀行の生き残りには必須と著者はみる。翻って日本の銀行ではこの顧客本位がおろそかにされがちと危機感を深める。

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