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割安株投資の要 「基準株価」いつ見直す(苦瓜達郎) 大和住銀投信投資顧問シニア・ファンドマネージャー

2018/5/29

写真はイメージ=123RF
「基準株価は冷静に割安株投資を実行するための要となるツールだ」

前回は私が実践するバリュー(割安)株投資について、売買の判断基準となる「基準株価」をどのように算出するのかについて解説しました(「決算佳境、成長の質で『基準株価』はじく」を参照)。しかしながら、この基準株価は永遠ではありません。投資を行った後、状況の変化があれば調整する必要があります。今回は基準株価の見直し方について説明したいと思います。

株価が上昇したとき、「もっと値上がりするはずだ」と欲が出て、結果として売り時を逃すという経験をされたことはないでしょうか。基準株価は冷静に割安株投資を実行するための要となるツールなのですから、実際の株価が目標と定めていた水準に達したら、速やかに売りのタイミングと判断しましょう。市場の動きに惑わされてはいけません。

■「基準株価」を見直すのは理由があるときのみ

その上で、まず強調したいのは「基準株価を調整するのはちゃんとした理由があるときのみ」ということです。逆にいえばよほどの理由がない限り、基準株価を見直してはいけないのです。

例えば、好材料が出たからといって、すぐ基準株価を引き上げるわけではありません。最初にチェックしなくてはいけないのは、その材料が一時的な要因にすぎないかどうか。特需による売り上げ増加や、予算の執行遅れによる利益率上昇などに対しては、基準株価は引き上げず、据え置くべきです。

持続的な業績拡大に関しても、常に基準株価を引き上げるべきだとは限りません。もし、一定期間は成長が確実だが天井もはっきり意識されている事業を行っている企業があるとすれば、単なる増益は基準株価を上げる理由にはなり得ません。また、景気変動や業界環境の影響を受けやすい企業に関しても、利益のピークアウトが意識される状況では、短期的な好業績は基準株価の引き上げ材料になりません。

では、どんな場合に基準株価を引き上げるべきなのか。それは企業がすでに予想されている成長軌道を短期的にクリアすることではなく、ビジネスモデルの拡張などによって中長期的な事業の天井が上がることが必要なのです。

■中長期の成長シナリオの変化を確認

実際に、私が基準株価を調整するのは中長期的な成長シナリオの変化が確認できた場合です。それを判断するのは9割が決算データ、残る1割が業績に影響を与える蓋然性が高い事実、または時間をかけて取材をした印象のいずれかです。

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