世界の目利きが選ぶ日本酒の真価 フモトヰ、金雀…

原料の酒造好適米(酒米)には兵庫県産の山田錦を使い、生酛(きもと)という伝統的な製法で造っている。一般的に生酛は冬の寒い時期、蒸した酒米を蔵人が木の棒(櫂=かい)ですり潰していく山卸(やまおろし)という作業を要する。さらに発酵の初期段階となる酒母では、雑菌がわくのを抑えてくれる乳酸菌が空気中から自然と入ってくるのを待つ。手間暇がかかる一方、アミノ酸の一種を多く生成することで独特のうま味につながるといわれる。

複合商業施設「GINZA SIX」(東京・中央)にも出店している酒販店「いまでや」の小倉秀一社長は「麓井酒造やゴールド受賞の山形正宗は、店舗でもワイン愛好家から高く評価する声が多い」と語る。「良質なワインに求められるバランス、余韻、力強さ、複雑さが審査過程で当てはまったのでは」とみる。

純米大吟醸部門で受賞した「金雀」は特に注目を集めた

純米大吟醸でトロフィーを獲得したのは、山口県岩国市の堀江酒場の「金雀(きんすずめ)40%」(参考価格750ミリリットル入り税別3万円)。トロフィー受賞銘柄がまだ明かされていない時点から、試飲した日本酒の業界関係者の間で注目を集めていた酒だ。

関西のある大手酒造の研究開発責任者は「この味や!この奥深さを目指さなあかん!」と興奮を隠せない様子だった。IWCの審査コメントでは「きれいでジューシー、フルーツのような華やかさがあり、酸味とキレ(a touch of savory finish)の均整が取れている」と評価された。

トロフィー酒以外でもオススメが目白押し

トロフィー受賞酒以外にもオススメ酒はたくさんある。利き酒師でフリーアナウンサーの近藤淳子さんは、各部門で4~20銘柄ほどが選ばれるゴールドメダル受賞酒のうち、車多酒造(石川県白山市)の「天狗舞(てんぐまい) 山廃仕込純米酒」(参考価格720ミリリットル入り税別1400円)が一押しという。「北陸放送(金沢市)でアナウンサーをしていた頃に出会った銘柄。香りはカラメルのようなスウィーティーさとほのかなスパイスに似た芳香をあわせ持ち、骨太く複雑な味わいにも蔵元の思いやロマンを感じた」とふり返る。

MONO TRENDY連載記事一覧
注目記事
次のページ
世界はテロワールも重視
MONO TRENDY連載記事一覧