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画質進化の最終形 年末開始の8K放送どう楽しむ

「年の差30」最新AV機器探訪

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NIKKEI STYLE

2018年12月から始まる「新4K8K衛星放送」。それに先駆けシャープは8K対応テレビ「LC-70X500」を17年12月に発売した。いったい8Kとはどんな規格で、何がすごいのか。昭和世代のAV評論家と平成世代のライター、年の差約30歳の2人がシャープを訪ね、8Kを体験した。

2018年12月より8Kの本放送が開始

小原(54歳のオーディオ・ビジュアル評論家) 今日は8Kの取材のため、シャープに来ています。

小沼(26歳のライター) 18年12月からNHKで8Kの放送が始まるんですよね(18年12月からBSと110度CSによる新4K8K衛星放送が開始予定)。まだ4Kテレビも普及しきっていないような印象があるんですが、8Kテレビってどれだけ需要があるんでしょうか。

小原 8Kには8Kなりの楽しみ方があるんですよ。今回はシャープTVシステム事業本部国内事業部8K推進部長の上杉俊介さんに解説していただきましょう。

上杉俊介さん 本日はよろしくお願いします。ところで小沼さん、テレビを持っていないそうですね。

小沼 AV機器の連載をしているのに肩身が狭いのですが(笑)。映画はDVDやNetflixを使ってパソコンで見ていますし、テレビもTVerなどで事足りているんです。

上杉 テレビを持っていない人は年々増えているんです。そういう方にどうやって高画質テレビの魅力を知ってもらうか、当社でもいつも考えている課題です。

小沼 シャープは2017年12月に70インチ型の8K対応テレビ「LC-70X500」を発売していますが、売れ行きはいかがですか?

上杉 コンスタントに売れています。現時点だと、新しい家電が好きな方やカメラが好きで自分の写真を高画質で見たいという方が多いです。

小沼 確かにカメラ好きの中にはお金に糸目をつけない人がいるという噂を聞いたことがありますが、そういうニーズがあるんですか。8Kテレビは価格も約100万円と高価ですから、いきなり一般向けに広くは浸透しないですよね。でも、どれだけきれいなのか、楽しみです。

小原 気に入ったらぜひ背負って持って帰ってください。重さ45キロ近くあるけど(笑)。

8Kは目で認識できる高画質の最終形

小沼 すごく基本的なことから聞きますが、「8K」ってどういう意味なんでしょうか。

小原 そこからですか(笑)。

上杉 8Kとは解像度が横7680×縦4320画素の画質のことです。1000を1Kとして、横の解像度がだいたい8000なので8Kとなります。

小原 4Kは横3840×縦2160なので4K、現在一般的に放送されているフルハイビジョンは横1920×縦1080なので2Kですね。

上杉 画質は縦×横の画素数で表すので、8Kは4Kの4倍、フルハイビジョンの16倍となります。フルハイビジョンと同じ画質で16倍の広さを表現できる、あるいは広さが同じなら16倍の細かさを表現できることになりますね。

小沼 そんなに違うんですね。でも、そもそも高画質になることでどんな効果があるんでしょう?

上杉 実物を本当に目の前で見ているような臨場感と実物感が味わえます。情報量が多いので、物体の奥行きや膨らみを表現する立体感をリアルに描写できるんです。現地に行かなくてもその場にいるかのような、徹底的なリアリズムを追求しているのが8Kですね。そもそもテレビの語源の「tele-vision」は「遠くのものを見る」という意味。8Kでそのレベルに到達すると考えられています。

小沼 でも、しばらくしたら16Kや32Kが登場した、なんてことはないんですか?

上杉 NHK放送技術研究所の、チョウの標本を使った実験があります。実物とディスプレーに映したものを見比べるという実験ですが、2Kではおよそ半分ほどの人が区別できたのに対し、8Kではほとんどの人が実物と見分けられませんでした。つまり人間の目は8Kを現実に限りなく近いものとして認識するため、8Kが最終形だといえるんです。

モナリザのひび割れまで見える

上杉 では、実際に映像を見てみましょう。まずはNHKがルーヴル美術館で撮影した、8Kのモナリザです。

小沼 うわ、すごい! 実際に見たことはないんですが、たしかに実物を見ているのと同じくらいリアルかも。胸元にある細かな刺しゅうや、繊細な髪の毛の描き込みまでしっかり確認できます。教科書やネット上にある画像を見るのとはまったく違って、見れば見るほど新しい発見がありますね!

小原 モナリザのように有名な美術作品は実際に美術館に行ってもすごい人で、遠くからほんの少ししか見られないんですよね。じっくり見られるという点では、実物以上じゃないでしょうか。

小沼 こうして見てみると、経年変化で表面がかなりひび割れているんですね。作品の経てきた歴史の空気まで感じられる気がします。

上杉 美術館に行ってもできない体験が、足を運ばずしてできるというのも8Kの特徴です。ルーヴル美術館のスタッフも「こんな映像は見たことがない」ととても驚いたそうです。

小沼 でも、こんな高画質の映像が家で見られるようになったら、美術館はお客さんが減っちゃいそうですよね。

上杉 美術品や工芸品を拡大して見ることで研究に役立てるなどの学術的な使い方が期待されますし、8K映像を使った新たな展示方法も登場しています。だからライバルというよりは、これを活用して新たな技術革新が起こるものだと考えています。美術の分野以外でも、医療分野の内視鏡手術やセキュリティ分野の監視カメラ、VR映像など、様々な分野で活用されると思いますよ。

編集せず、まるごと撮ってライブ感を表現

上杉 続いて、スポーツの分野での映像を見てみましょう。フィギュアスケートの世界大会の様子です。

小沼 氷盤に跡がついているのがくっきり見えますね。ジャンプした時に氷のしぶきが跳ねる様子も見えてすごくリアル。これまでのテレビでは映っていなかったところも、しっかり見えて、空気感まで伝わってくる気がします。

小原 8Kは引きの映像が多いのも特徴ですよね。解像度が高いので、全体を映していても細かい部分をしっかり観察できる。距離感や全体像がよくわかるのも特徴だと思います。

小沼 これまでのテレビは凝ったアングルで編集されていたけど、8Kはなるべく編集しないように変わっていくんですね。

上杉 撮影する側もなるべく全体が見えて、そこにいるかのような気分になれる映像を作るよう、意識しているようです。たとえばサッカーだとファンの中では俯瞰(ふかん)でフォーメーションを見たいという人もいますし、引きで撮りながら全体の空気感やライブ感を伝える映像を目指しています。

小沼 これまでのテレビとはまったく別物なんですね。

2K、4K動画を8Kにアップコンバート

小原 あと、僕がシャープの8Kで良いと思ったのは2Kや4Kの動画を8Kにアップコンバートしてくれる、その処理能力の高さです。

小沼 自動的に補正して8K画質まで高めてくれるってことですよね。

小原 そういうことになります。今日は映画「ハドソン川の奇跡」のUHDブルーレイ盤を持ってきたので、4Kと8Kで見比べてみましょう。ちなみに、この映画は6Kデジタルカメラで撮影したものを4K画質にダウンコンバートしたものです。

小沼 4Kテレビと見比べてみると、8Kで見たほうが画面の奥行き感がよりリアルになっている気がします。確かに変わっていますね。

小原 初めて見たとき、コンバートの質の高さに驚いたんです。ここまでクオリティーが高まるなら、一見の価値はあると思います。まだ8Kコンテンツが普及していない今でも、この連載で取り上げる意味があると考えたんです。

8Kは好きなものをとことん楽しみたい人向け

上杉 ここまで見てきて、小沼さんはどう思いましたか?

小沼 たしかに映像はすごくきれいですね。ただテレビを持っていない僕が言うのも何ですが(笑)、僕はここまでの環境は自宅に求めていないと思いました。8Kテレビはニュースやバラエティーをなんとなく見るようなこれまでのテレビではなく、スポーツや映画、写真など、自分の好きなものをとことん楽しみたい人向けの超高画質のディスプレーという印象です。今までのテレビが受動的に楽しむものだとしたら、8Kテレビは能動的に楽しむというか。

上杉 小沼さんはどういった用途なら、8Kを使ってみたいと思いますか?

小沼 アイドルのライブには向いていそうですね。全体のフォーメーションを見ながら、好きなメンバーの表情まで追うことができると、実際に一番良い席でライブを見ているような気分になれるんじゃないでしょうか。

上杉 アイドルは大人数で衣装もカラフルですし、高画質には向いていますよね。

小沼 あとはせっかくその場にいるようなリアルな映像なので、生中継やライブ配信だとより楽しめそうです。アメリカで開催される音楽フェス「コーチェラ・フェスティバル」は、例年YouTubeで生配信されているのですが、これを8Kで見られたら面白そうです。小原さんはどんな楽しみ方ができると思いますか?

小原 ぼく個人は、丁寧に制作された紀行番組やドキュメンタリーなど、制作年代は古いけれども文化的価値の高いフルHD作品を8Kにアップコンバートして楽しみたいですね。それと、70ミリなどの大判フィルムの映画を精巧にスキャニングして修復した映画とかも、きっと8Kで見たらすごいと思いますよ。

小沼 名作が違った形でよみがえるというわけですね。

小原 あとは現場だと一度しか見られないけど、映像なら録画して繰り返し見られますしね。8Kはテレビにとどまらずさまざまな場所で技術が応用できると思うので、こうした点でも注目していきたいですね。ただし、8Kが録画できるレコーダーが一般向けに製品化されるかは未知数ですけど。

◇ ◇ ◇

実際に8Kのテレビを体感してみて、映像の現実のようなリアルさ、細かなところまで見える臨場感には驚くものがあった。ただ、2018年12月からはじまる8K放送もNHKのみで視聴できる番組は限られる上に、ニュースやバラエティーなど、番組によっては8Kまでの解像度を求めないものもあると思われる。そのため、すぐに一家に1台という状況まではなかなか普及しなさそうだ。

一方で、スポーツ観戦や映画、写真、ライブ鑑賞など、趣味を思い切り楽しみたい層には需要があるとも感じた。娯楽が多様化する中で、テレビの楽しみ方は必ずしも地上波の番組を見るだけではなくなってきている。8Kと相性の良い趣味を持っている人は、一度8Kの映像を確認してみてはどうだろう?

小原由夫
 1964年生まれのオーディオ・ビジュアル評論家。自宅の30畳の視聴室に200インチのスクリーンを設置する一方で、6000枚以上のレコードを所持、アナログオーディオ再生にもこだわる。最近見てよかった映画は「シェイプ・オブ・ウォーター」。
小沼理
 1992年生まれのライター・編集者。最近はSpotifyのプレイリストで新しい音楽を探し、Apple Musicで気に入ったアーティストを聴く二刀流。最近見てよかった映画は「君の名前で僕を呼んで」。

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