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なぜ名古屋がコスプレ聖地に? 仕掛け人は元TVマン 編集委員 小林明

2018/5/25

――曲がりなりにもイベントを続けてきたので、名古屋が「コスプレの聖地」と呼ばれるようになったわけですね。

イベントを続けることで認知度が高まるという(2017年のコスプレパレード、名古屋市大須)(C)WCS

「そうです。世界から愛好者が大勢集まり、世界一を決めるワールドカップを毎年名古屋で開いているという事実が重要なんです。フランスのカンヌだって、有名な国際映画祭を継続して開催しているからこそ、映画文化の聖地になっているわけじゃないですか。イベントを続けていると、交流の輪がドンドンと広がり、やがて文化の中心地としてその場所が世界に認知されるようになる。さらに大きなインバウンド消費も期待できる。世界における日本の文化、ソフトパワーの存在感を高めるのにこれほど有効なコンテンツはないでしょう」

■文化交流の有力な手段、ファン同士だと敵がい心も生まれない

――コスプレの魅力とはなんでしょうか。

「文化交流、国際交流の有力な手段だと思います。忘れられない光景があります。初めて海外からコスプレ愛好者を名古屋に招待し、トークショーをした時のことです。参加者の共通言語は英語と日本語の片言だけだったので通訳を用意していたんですが、不思議なことに、いざ討論が始まってみると、好きなアニメや漫画、ゲーム、特撮の作品、キャラクターの名前を出しただけで互いにコミュニケーションができてしまうんです。通訳の出番があまりなかった。これには驚きました。自分が好きな場面やコスチューム、登場人物の性格、世界観などが話題であれば、言語が多少不自由でも、なんとか意思疎通できてしまう。コスプレが持つパワーはすごいですね」

「だからよく思うんです。共通の文化を持っていれば、おそらく戦争は起きないのではないだろうかと。少なくとも強力な歯止めにはなってくれるはずです。これまで尖閣諸島や竹島など繊細な話題もありましたが、コスプレ愛好者の間ではまったく障害にはならなかった。お互いに『ごめんね』という感じで、常に互いの関係を前向きに捉えている。11年に東日本大震災や原発事故が起きたときには、中国や韓国も含めて世界中のコスプレファンから『ニッポン、頑張れ』という温かいメッセージをたくさんもらいました。コスプレをきっかけに交際を始め、国境や人種の壁を越えて結婚にまで発展したカップルも大勢います」

■2020年には参加国・地域を50以上に、「先輩」はすでに約500人

ブラジルのオリバス兄妹はレジェンドとして知られる(C)WCS

――世界のコスプレ文化の勢力図はどうなっていますか。

「コンテストを実施した過去13回の実績で見ると、世界の2強は明らかにブラジルとイタリアですね。ともに3回優勝しています。それに続くのが日本で世界制覇は2回。あとはフランス、ロシア、メキシコ、インドネシア、中国が1回ずつ。特別なレジェンドがいるのをご存じですか。ブラジルのオリバス兄妹です。『天使禁猟区』(06年)と『ファイナルファンタジーXII』(11年)のコスプレで計2度優勝しました。2度も優勝したのは世界で彼らだけですよ」

――世界コスプレサミットはどんな形態で運営しているのですか。

「地域予選の方法は日本側で管理していますが、ビジネス展開は各国のオーガナイザーに完全に任せています。ロイヤルティーは受け取っていません。ただ、一定程度の規模拡大が達成できていないオーガナイザーは別の団体に交代してもらっています。年に3カ国・地域くらいは入れ替わっているんじゃないでしょうか。黒字化できないのは規模を年々拡大し、経費が増えているからです。でも新規に参加したいとオファーしている国・地域がまだ40近くもあるので、拡大ペースを緩めることができません。参加国・地域は今年が38になり、来年は43、さらに20年には50以上に増やすのが目標です」

日本のコスプレ文化は世界の憧れだという(2012年に優勝した日本代表)(C)WCS

「地域予選で優勝し、代表になった人は日本語で『先輩』と呼ばれる習わしがあります。『先輩』と呼ばれることが憧れになっているからです。こうした『先輩』は世界ですでに約500人もいて、互いに交流し、コスプレを日本の文化として世界に伝道しています。今後もイベントの規模をもっと拡大し、さらに世界の日本ファンを増やすことができたら本当にすばらしいこと。それを実現するのが僕にとっての大きな夢です」

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