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なぜ名古屋がコスプレ聖地に? 仕掛け人は元TVマン

編集委員 小林明

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NIKKEI STYLE

今年で16回目となる「世界コスプレサミット」が7月28日から8月5日まで名古屋市で開催される。2017年は34カ国・地域からの代表が参加し、32万人以上がメイン会場や関連施設などを訪れたが、今年はアフリカ大陸から初めて南アフリカが参加するなど参加国・地域は38に増える見通し。コスプレの世界一を決める「ワールドカップ」としても着実に国際的な認知度が高まりつつある。

世界コスプレサミットの仕掛け人である実行委員長の小栗徳丸さん(49)に、名古屋がコスプレの聖地と呼ばれるようになった理由のほか、コスプレの魅力や拡大するビジネスチャンスの可能性などについてインタビューした。

大須電気街にメイド喫茶、コスプレの深夜番組から派生

――そもそも世界コスプレサミットを始めたきっかけはなんだったのですか。

「僕がテレビ愛知のプロデューサーだった03年に『大須のコスプレ物語』という深夜のローカル番組の放映を始めたのが出発点です。当時、名古屋の大須電気街の電気店オーナーが、東京の秋葉原に出現していたメイド喫茶を名古屋にもオープンした。そこで、コスプレ文化を地元でも広めたいという思いから、この深夜番組のスポンサーになってくれたんです」

「コスプレのことを色々と調べてゆくと、日本のアニメなどをテーマにしたコスプレ愛好者が海外にもすごく多いことが分かってきた。『うる星やつら』のラムちゃんや『美少女戦士セーラームーン』などの格好をしたセクシーな女の子が結構いる。『これはきっと視聴者に受けるぞ』とひらめき、彼女たちが大勢いそうなパリの文化イベント『ジャパンエキスポ』にイベントプロデューサーだった上司と一緒に番組として海外取材にいったのがきっかけです」

パリのジャパンエキスポで衝撃、世界から尊敬集める「日本」

――当時、ジャパンエキスポはどんな様子だったんですか。

「もう、びっくりしましたよ。日本のアニメや漫画、ゲームや特撮のキャラクターを忠実にコピーし、その世界観を見事に再現しているんですから。とにかく日本への愛がすごい。夢の国、日本に行きたいから日本語を一生懸命に勉強しているとか、日本人の恋人が欲しいとか……。日本人であるだけで熱烈にリスペクトされてしまう。もともとアメリカ文化に憧れていた僕は日本人であることに劣等感を感じていたんですが、コスプレ愛好者と接していると、日本や日本文化、日本人のことを心から尊敬しているのがよく分かった。TVマンとして『これは日本に伝えるべき現象だ』と直感。現地でスカウトした5人の女性(フランス2人、ドイツ2人、イタリア1人)を03年秋に名古屋に招待し、トークショーや撮影会などをするスピンオフ企画を考えついたんです」

――それが世界コスプレサミットの原点になったんですか。

「そうです。ただその時点ではトークショーと撮影会だけのイベントで、コスプレのコンテストはしていませんでした。コスプレの世界コンテスト(チャンピオンシップ)を初めて実施したのはその翌々年の05年。その年は7チームが参加し、イタリア代表が優勝しました。ただコンテストはこの1回だけで終える予定だったんですよ。経費も作業も大変でしたから。招待した各国代表の交通費、宿泊費、食費や諸経費などは今でも主催者がすべて負担しています。当初はさらに渡航費用まで払っていて、相当な出費でした。でも社会的な反響が大きかったし、参加者からも『ぜひ続けてほしい』という要望が強かったので、イベントを継続することになったんです」

費用拡大で赤字続きも、可能性を感じて事業継承

――その後のプロセスは順調でしたか。

「僕は05年にテレビ愛知を退社し、広告会社を設立したので、しばらくは外部からイベントの様子を見ていました。もちろんファンの1人として毎回来場していましたし、イベントの規模が徐々に拡大してゆくのもとてもうれしかったのですが、11年のイベントが終わったころ、テレビ愛知の関係者から『財政事情が厳しくて、イベントをこのまま開催してゆくのが難しいかもしれない』と聞かされたんです。もともと自分が立ち上げたイベントですから思い入れは人一倍強かったし、自分なりに営業して、全日本空輸と第一興商にもスポンサーになってもらったばかりだったので、ここでイベントをやめたらスポンサー企業に申し訳ないことになると思いました」

「それと同時に、名だたる大企業がイベントに協賛してくれたことで、僕はビジネスとしての世界コスプレサミットの可能性も改めて感じ取ったんです。たとえ今は赤字であっても、きっとビジネスとして大きく成長するはずだ。日本政府もクールジャパン戦略を後押ししており、追い風も吹いている。そこで12年にWCSという会社を設立し、イベント全体を僕が引き取ることにしたんです」

――曲がりなりにもイベントを続けてきたので、名古屋が「コスプレの聖地」と呼ばれるようになったわけですね。

「そうです。世界から愛好者が大勢集まり、世界一を決めるワールドカップを毎年名古屋で開いているという事実が重要なんです。フランスのカンヌだって、有名な国際映画祭を継続して開催しているからこそ、映画文化の聖地になっているわけじゃないですか。イベントを続けていると、交流の輪がドンドンと広がり、やがて文化の中心地としてその場所が世界に認知されるようになる。さらに大きなインバウンド消費も期待できる。世界における日本の文化、ソフトパワーの存在感を高めるのにこれほど有効なコンテンツはないでしょう」

文化交流の有力な手段、ファン同士だと敵がい心も生まれない

――コスプレの魅力とはなんでしょうか。

「文化交流、国際交流の有力な手段だと思います。忘れられない光景があります。初めて海外からコスプレ愛好者を名古屋に招待し、トークショーをした時のことです。参加者の共通言語は英語と日本語の片言だけだったので通訳を用意していたんですが、不思議なことに、いざ討論が始まってみると、好きなアニメや漫画、ゲーム、特撮の作品、キャラクターの名前を出しただけで互いにコミュニケーションができてしまうんです。通訳の出番があまりなかった。これには驚きました。自分が好きな場面やコスチューム、登場人物の性格、世界観などが話題であれば、言語が多少不自由でも、なんとか意思疎通できてしまう。コスプレが持つパワーはすごいですね」

「だからよく思うんです。共通の文化を持っていれば、おそらく戦争は起きないのではないだろうかと。少なくとも強力な歯止めにはなってくれるはずです。これまで尖閣諸島や竹島など繊細な話題もありましたが、コスプレ愛好者の間ではまったく障害にはならなかった。お互いに『ごめんね』という感じで、常に互いの関係を前向きに捉えている。11年に東日本大震災や原発事故が起きたときには、中国や韓国も含めて世界中のコスプレファンから『ニッポン、頑張れ』という温かいメッセージをたくさんもらいました。コスプレをきっかけに交際を始め、国境や人種の壁を越えて結婚にまで発展したカップルも大勢います」

2020年には参加国・地域を50以上に、「先輩」はすでに約500人

――世界のコスプレ文化の勢力図はどうなっていますか。

「コンテストを実施した過去13回の実績で見ると、世界の2強は明らかにブラジルとイタリアですね。ともに3回優勝しています。それに続くのが日本で世界制覇は2回。あとはフランス、ロシア、メキシコ、インドネシア、中国が1回ずつ。特別なレジェンドがいるのをご存じですか。ブラジルのオリバス兄妹です。『天使禁猟区』(06年)と『ファイナルファンタジーXII』(11年)のコスプレで計2度優勝しました。2度も優勝したのは世界で彼らだけですよ」

――世界コスプレサミットはどんな形態で運営しているのですか。

「地域予選の方法は日本側で管理していますが、ビジネス展開は各国のオーガナイザーに完全に任せています。ロイヤルティーは受け取っていません。ただ、一定程度の規模拡大が達成できていないオーガナイザーは別の団体に交代してもらっています。年に3カ国・地域くらいは入れ替わっているんじゃないでしょうか。黒字化できないのは規模を年々拡大し、経費が増えているからです。でも新規に参加したいとオファーしている国・地域がまだ40近くもあるので、拡大ペースを緩めることができません。参加国・地域は今年が38になり、来年は43、さらに20年には50以上に増やすのが目標です」

「地域予選で優勝し、代表になった人は日本語で『先輩』と呼ばれる習わしがあります。『先輩』と呼ばれることが憧れになっているからです。こうした『先輩』は世界ですでに約500人もいて、互いに交流し、コスプレを日本の文化として世界に伝道しています。今後もイベントの規模をもっと拡大し、さらに世界の日本ファンを増やすことができたら本当にすばらしいこと。それを実現するのが僕にとっての大きな夢です」

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