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定年楽園への扉

お金より深刻な老後問題 暴走老人は孤独が育てる? 経済コラムニスト 大江英樹

2018/5/31

脳は毎日同じパターンの行動を繰り返していると劣化していくといわれています。会社でルーティンの仕事をし、同じ人たちと付き合うだけでなく、できるだけ新しい人と知り合い、異なる活動に取り組んでいくことが大切です。これによって、会社を辞めても新たな自分の居場所を持つことができると同時に常に人とのコミュニケーションを保つことができます。結果として脳の活性化を維持することができるはずです。

もともと人間は加齢とともに感情をコントロールしにくくなるようです。老年精神医学を専門とする精神科医の和田秀樹氏によれば、年を取ると脳の中でもまず先に前頭葉の機能が低下することが多いといいます。前頭葉が委縮していくと、感情抑制機能の低下や性格の先鋭化といった傾向が強く出るそうです。

■意識的に努力して精神面の健康を保つ

性格の先鋭化というのは、それまで理性で抑えることができていたその人の性格の特徴が大きく表に出てくるということです。こうした前頭葉の機能低下は生物学的に起きる現象ですから、昔からあったはずですが、大家族という環境が前頭葉の萎縮やそれに伴う感情の変化をある程度防いでいたのではないでしょうか。現代においては意識的に努力することによって精神面の健康を保たなければなりません。

私は会社を定年で辞めて6年経ちますが、今では会社時代の知人はごく数人しかいません。定年後に付き合うようになった人たちの方が圧倒的に多くなってきています。定年は人生の一つの区切りに過ぎません。

以前も述べましたが、表面的に多くの人と付き合っていても心の中では充実感がなかったり、信頼できる相手がいなかったりすればそれは孤独といえます。逆に独りで過ごす時間が多くても、心を許せる友人や家族がいれば孤独に陥っているわけではないでしょう。新しい友人を増やしていく上では「数」ではなく、「質」が大切です。それこそが老後の孤独を防ぐ有効な手立てといえるでしょう。

「定年楽園への扉」は隔週木曜更新です。次回は6月14日付の予定です。
大江英樹
野村証券で確定拠出年金加入者40万人以上の投資教育に携わる。退職後の2012年にオフィス・リベルタスを設立。著書に「定年男子 定年女子 45歳から始める『金持ち老後』入門!」(共著、日経BP)など。http://www.officelibertas.co.jp/

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