草にのみ込まれる廃虚の村 緑に覆われた不思議風景
中国、上海の南東約60キロの東シナ海に、ジョウ山島という小島が浮かぶ。島にかつてあった漁村、後頭湾村は、伸び放題の緑に覆われたままだ。2017年、上海を拠点に活動する映像作家のジョー・ナフィス氏は、仲間の写真家とともにこの地を訪れ、その風景をカメラに収めた。廃墟となった集落に着くと、ナフィス氏は地上からはもちろん、ドローンを使って空からも家々を探索した。この村に、何があったのか。
1990年代、この集落には漁師とその家族2000人ほどが暮らしていた。だが、近くの上海が都市として発展していくなか、漁業に頼っていた人々は、もっと大きな可能性を求めて中国本土に移住した。その後20年余りで村は放棄されたのだ。
今は、草木にのみ込まれた何十軒もの家々が、海岸近くまで迫った丘の斜面に点在している。壁が倒れたり、屋根が崩れ落ちたりした家もあれば、ほぼ完全に植物に覆われた家もある。蛇行した未舗装の道が廃屋を結び、漁港の跡は活気があった村の過去を物語る。
「ドローンを使ったのはいいアイデアでした。道は管理が行き届いておらず、植物が茂りすぎていましたから」とナフィス氏はウェブサイト「コロッサル」の中で語っている。「ぼろぼろになった建物がある一方、リフォーム中のように見える建物もありました。とにかく、見るものすべてが不思議な村でした」
(日経ナショナル ジオグラフィック社)
[ナショナル ジオグラフィック 2018年5月2日付記事を再構成]
詳しい記事はこちら
ワークスタイルや暮らし・家計管理に役立つノウハウなどをまとめています。
※ NIKKEI STYLE は2023年にリニューアルしました。これまでに公開したコンテンツのほとんどは日経電子版などで引き続きご覧いただけます。