医療ドラマ『グッド・ドクター』 全米高視聴率の理由

日経エンタテインメント!

米国テレビ業界では2017~18年のシーズンも大詰め。今期の地上波の新ドラマの中で、最も安定して高い視聴率を維持しているのが17年9月から始まったABCの医療ドラマ『グッド・ドクター 名医の条件』(日本ではWOWOWで放送中)です。主演のフレディ・ハイモアが来日、全米で多くの視聴者を引きつける番組の魅力について、彼の考えを語ってくれました。

1992年英国生まれ。父親は俳優のエドワード・ハイモア。映画『チャーリーとチョコレート工場』(05年)で名子役として有名に。『グッド・ドクター 名医の条件』(17年~)では、自閉症ながら天才的な空間認知能力と記憶力を持った医師ショーンを演じている (写真:松川忍)

ハイモアは映画『チャーリーとチョコレート工場』などで子役時代から活躍。映画『サイコ』にインスパイアされたテレビシリーズ『ベイツ・モーテル』(13~17年)では、主演のノーマン・ベイツを演じて話題になりました。

そこから間を空けずに、今度は『グッド・ドクター 名医の条件』に主演。自閉症ながら記憶力に驚異的な能力を発揮するサヴァン症候群の医師ショーン・マーフィーを演じています。

3月にプロモーションのため来日したハイモアは、「長年、『ベイツ・モーテル』で人を殺してきたので、やっと人を救う立ち場になれた(笑)」と破顔一笑。透明感のあるピュアな魅力と、ケンブリッジ大学でアラビア語とスペイン語を専攻し、フランス語も流ちょうに話すという秀才ぶりも、ある種の天才であるショーンに重なります。

コミュニケーションが苦手なショーンは、同僚の医師や患者にも不安を抱かせたり、偏見を持たれることも。そんななかで、「人の命を助けたい」というショーンの純粋な思いに、しばしば涙を誘われ、心が洗われるような気持ちになります。番組の魅力とヒットの要因を、ハイモアは次のように語ります。

「テレビをつけてもネガティブなことばかり。だから、ショーンの持つ希望的で楽観的な部分や、できるだけ人のいいところを見るという資質が、見ている人を安心させるのでは。今の社会では、多くの人が自分は人の輪に入れないなどの疎外感を感じている。そうしたなかで、ショーンのような人物にチャンスを与えるという内容は、希望を与えていると思う。この番組自体が、多様性を伝えるものなのです」

韓国の人気ドラマをリメイク

『グッド・ドクター 名医の条件』 全米ではABCで17年9月より放送。日本ではWOWOWプライムで毎週木曜23時ほか放送中 (C)2017 Sony Pictures Television Inc. and Disney Enterprises, Inc. All Rights Reserved.

韓国の同名人気テレビシリーズのリメイク版である本作。『HAWAII FIVE-0』のダニエル・デイ・キムが、米国版の企画を『Dr. HOUSE』のデイヴィッド・ショアに持ちかけ、ショアが書き上げた脚本がハイモアのもとに送られてきたそうです。

ハイモアは、ショアやキムらとともに、初のプロデューサーにも名を連ねています。「俳優だけやるよりも、もっと大きな責任を持つのはとても楽しいこと。『ベイツ・モーテル』のときも脚本と監督を手がけているので、本作でも積極的に関わっていきたい」

ハイモアは、長く続くテレビシリーズの現場は「学びの場である」と語ります。「キャラクターを発展させていく上で、自らアイデアを出したいという欲求が強くあるし、俳優としてもシリーズ全体に対してすごく責任がある。というのも、エピソードごとに監督が変わるし、撮影地はカナダのバンクーバーだが、ショアや脚本家たちはロサンゼルスにいる。だから、番組を俯瞰して見られる人間が現場には必要で、その役割をプロデューサーの1人として自分が担えれば、と思っています」

本作はシーズン2の製作が決定しています。ショーンが医師として、人間として、どんな成長を遂げていくのか、楽しみにしたいと思います。

(ライター 今 祥枝)

[日経エンタテインメント! 2018年5月号の記事を再構成]

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