大腸がんは大腸の粘膜に発生するがんのこと。全長1.5~2mの大腸は結腸と直腸からなり、がんの約7割は肛門に近い直腸とS状結腸に発生している。

「直腸がんだと便に赤い血が混じるので、痔と間違えやすい。S状結腸がんでは、赤黒い血便や粘液と血液が混じった粘血便が出ることが多いです。大腸がんの症状には、一般に便に血がつく血便や排便時の出血、便秘になる、便秘と下痢を繰り返す、スッキリ出ない、便が細くなる、などがありますが、これらの症状が現れるのはがんがかなり大きくなってから。早期はほぼ症状がなく、検診などで見つかることがほとんどです。
なお、女性は男性より結腸がんの割合が多く、高齢になるほど増えてきます。お腹の右側の盲腸・上行結腸は肛門から遠く、進行しても出血や排便異常などの症状が現れにくいので、発見が遅れがちです」
女性のがんには、女性ホルモンが大きく関わるがんと加齢によるがんがある。前者の代表が乳がん、そして後者が大腸がんだ。乳がんの罹患率は40~60代でピークを迎えるが、大腸がんは逆に40代から右肩上がりに増えていく。

「大腸がんは生活習慣と遺伝的要因の両方が密接に関係しています。生活習慣に関わるがんは、年齢が上がるほどリスクが上がるもの。いわば長寿の代償です。自治体の大腸がん検診が始まる40歳からが、まさに『大腸がん年齢』なのです。
一方で、少数ながら40歳未満で発症する人も。この場合は遺伝的要因が大きいと考えられます。例えば大腸がんになった血縁者がいる人は、そうでない人より発症リスクが2~3倍高くなるとされます。心当たりのある人は40歳より前から定期的な検診を受けてほしいですね」
予防は可能だろうか? 「肥満や過度の飲酒は大腸がんのリスクを増やし、運動はリスクを減らすといわれています。ただし、どれだけ生活習慣に気をつけていても、なるときはなる。つまり、大腸がんを完璧に防ぐことはできないのです。だからこそ大事なのは早く見つけて治すこと。これに尽きます!」。