Mrs.GREEN APPLE 多彩な楽曲で若手バンドの雄に
作詞作曲を担当するギター&ボーカルの大森元貴が中心となり、2013年に結成したMrs. GREEN APPLE。15年にデビューした平均年齢23歳の5人組ロックバンドだ。
大森は、「初めて曲を手掛けたのは小学校6年生の時。その頃からプロのミュージシャンになることを考え、様々なジャンルの曲作りにチャレンジしてきた」と語る。
エレクトロな音感を加えたバンドサウンドを中心に据えつつも、アメリカのティーンポップを意識したミディアム調のロックナンバーや、美しいストリングスが響くバラードなど、多彩な楽曲を生み出し、若者に支持されてきた。
人気プロデューサーの蔦谷好位置は、『関ジャム 完全燃SHOW』(テレ朝系)で、幅広いサウンドに加え、編曲まで手掛ける彼らを絶賛。音楽業界からの評価も高い。
合奏や合唱を意味するニューアルバム『ENSEMBLE』は、彼らの新たな挑戦が詰まった1枚。17年のドラマ『僕たちがやりました』用に書き下ろした楽曲『WanteD! WanteD!』には、南国を思わせるシンセサイザーの音色が特徴的なトロピカルハウスを織り交ぜている。「世界の最先端のサウンドやビートを、日本の若い子たちに楽しんでもらいたかった」(大森)と狙いを明かす。
若者が踊りまくる1曲に
さらに『WHOO WHOO WHOO』では、サビにあえて歌詞を入れず、強めのビートや歪んだシンセサイザーを強く利かせ、クラブミュージックさながらのEDMソングに仕上げた。キーボードの藤澤涼架は、「この曲をライブで演奏すると、若い子たちが何かを解放するかのように自由に踊っているので、楽しんでもらえているなと感じています」と語る。
一方、18年2月にシングルリリースした『Love me,Love you』は生音にこだわり、サックスやホーン、トランペットなどが華やかに鳴り響くビッグバンド風サウンドとなっている。「昔から、ブロードウェイなどの王道のエンタテインメントに憧れていたんです。その世界観を楽曲で表現できるよう、ミュージカルアニメ映画『SING/シング』をメンバーみんなに見てもらい、視覚でもイメージを共有しました」(大森)。
愛や人について歌った人生讃歌の『PARTY』では、メンバーが複数の楽器を演奏。ギターの若井滉斗は、「僕がバンジョーも弾いたり、ドラムの山中がコンガも叩いたりと、生音をいくつも重ねたことで、人と楽器が織りなす温かみが伝わる一曲になった」と曲の作り方を解説する。
大森の今後の目標は、「様々な人が楽しめるポピュラーミュージックを生み出し続ける」こと。NHKの『みんなのうた』に楽曲提供するという野望も心に秘める。彼らの多岐にわたる音楽性は、世代を超えて人々の心をとらえていきそうだ。
(ライター 中桐基善)
[日経エンタテインメント! 2018年5月号の記事を再構成]
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