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マンション修繕に思わぬ誤算 工事費高騰で資金難 毎月の積立金、引き上げ早めに

2018/5/27

写真はイメージ=PIXTA

 マンションで暮らす人が避けて通れないのが修繕工事だ。屋上や外壁などを直す工事は十数年ごとに必要となり大きな出費となる。ここ数年は工事費の相場高騰などから、住民が月々払う修繕積立金だけでは費用を賄えないケースが増えてきた。修繕の計画や積立金の状況を把握し、早めに対策を考える必要がある。

 「あのときの判断は正しかったのだろうか」。東京都内にある低層マンションで暮らす会社員Aさん(43)は話す。新築で購入した3年後の2013年、「東京五輪の開催決定を受けて修繕工事費の相場が上がっている」という話が管理組合の場で持ち上がった。

 修繕計画では当初、工事を20年頃に予定していたが、延期して相場沈静化を待つことにした。だがAさんは最近、建設業界にいる知人から、相場はすぐには下がらないのではとの話を聞き、不安になっている。

 「修繕工事費の相場は13年春に比べて20~30%高い」。さくら事務所(東京・渋谷)の土屋輝之マンション管理コンサルタントは指摘する。建設業界で深刻な人手不足が続いていることが背景にある。

 Aさんのマンションと同様、修繕工事を20年以降へ延期した例は多いという。工事の集中が将来予想されることもあり、「相場高騰が五輪後すぐに沈静化するか不透明だ」(土屋氏)。

■融資に頼る管理組合増える

 工事費の増加を背景に、やむなく金融機関から借金して修繕をするマンションも増えている(図A)。住宅金融支援機構の融資額は13年度以降、目立って増加。築年数が新しい物件でも修繕積立金だけでは費用を賄えず、融資に頼る例が多くなっている。

 さらにここ数年は、不当な価格提示の問題も表面化している。修繕工事において設計コンサルティング会社と施工会社が組み、割高な工事計画をマンション側に示して利益を得るケースが増加。問題視した国土交通省が実態を調査し、注意を促す事態になっている。

 修繕計画が狂う原因は他にもある。一例がマンション駐車場の利用者減少だ。駐車場の利用料収入は従来、一部が積立金に加えられ、修繕を支えていた。近年はクルマ離れから駐車場を借りる住人が減少。空きが目立つようになっている。

 空き状況を示すデータは少ないが、東京カンテイ(東京・品川)の井出武上席主任研究員は「駐車場の設置率が参考になる」という。首都圏の新築物件を調べたところ、総収容台数を総戸数で割った設置率は01年に67%だったのが、徐々に低下。17年には33%となっている。需要減から駐車場の設置を手控える不動産会社が多いようだ。

 都心部のマンションで多い機械式の駐車場は維持・更新費用が特にかさむ。利用料収入で賄えなければ、修繕積立金を取り崩して穴埋めすることになる。マンション自体の修繕計画にも響くため、空き駐車場は大きな問題になりつつある。

 環境悪化を背景に、不動産会社が分譲時に設定する修繕積立金の月額は上昇傾向にある(図B)。東京カンテイによると、1戸当たり月6067円だ(17年)。それでも専門家の間では、将来の修繕を賄うのに不十分との見方が多い。

 国交省は修繕積立金についての指針を11年に策定。条件によるが、1平方メートル当たり月178~218円を必要額の目安とした。前述の17年データを1平方メートル換算すると約95円。指針の目安を大きく下回る。マンションによっては分譲時に別途、数十万円の修繕資金を集める例もあるが、それを考慮しても届かない。

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