人生100年だから資産寿命も長く 低リスク投信に注目QUICK資産運用研究所 清家武

写真はイメージ=123RF
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価格変動リスクの小さい「低リスク型ファンド」に安定的に資金が流入している。金融庁が重視する「顧客本位の業務運営」を意識した金融機関が低リスク型ファンドを改めて評価し、販売に注力しているためだ。高齢化時代に対応した資産運用のあり方としても注目される。

QUICKは投資信託の価格変動リスクを示す指標「QUICK FUND RISK(QFR)」を2001年から公表している。各ファンドのリスクを東証株価指数(TOPIX)を基準に比較し、6段階に分類したもので、最も低いリスクレベル「QFR1」に分類されるファンドの純資産残高は過去3年間で約2.6兆円増加した(図表1)。

「顧客本位の業務運営」が影響

要因の一つは何といっても金融庁による「Fiduciary duty(フィデューシャリー・デューティー=受託者責任)」の推進だ。他者の信認を得て任務を行う者が負う責任や役割を指し、金融機関に対して顧客本位の業務運営を求めている。

組み入れ資産の収益以上の分配金を出す「毎月分配型ファンド」に対し金融庁が厳しい姿勢を取る中で、金融機関は「運用実態に即した分配金」を出すファンドや「基準価額が大きく下がらない」ファンドを販売の中心に据え、結果としてそれらのファンドの残高が増えた。そうしたファンドは総じて価格変動リスクが小さい傾向がある。

そしてもう一つ、将来を見据える上でより重要ともいえる要因がある。「金融ジェロントロジー」を意識した資産運用を目指すファンドが増加していることだ。金融ジェロントロジーとは、ジェロントロジー(老年学)と金融を組み合わせた分野であり、米国で研究が進んでいる。日本では野村証券を傘下に持つ野村ホールディングスや慶応義塾大学などが取り組みを強化している。

金融ジェロントロジーの観点

「人生100年時代」といわれるように高齢化が進む日本においては、金融ジェロントロジーの観点でいかに「資産寿命」を延ばすかが課題となっている。基準価額が大きく下がらないということは資産寿命を延ばすことにつながる。

今まで主流だった毎月分配型ファンドの中には運用実態より高い分配金を出し続けたことで、基準価額が2000円から3000円台と元本の1万円を大きく下回るファンドが出現。純資産残高が大幅に減少するファンドが出てきた(図表2)。資産寿命を延ばすという観点で、「運用実態に即した分配金」と「基準価額が大きく下がらない」運用をするファンドは、今後の主流になると思われる。

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