2018/5/22

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また、ガソリン車やハイブリッド車に強いトヨタは、電気自動車が主流になると逆風ですが、ブリヂストンはこのリスクと無縁です。さらに、巨大市場の米国ではトランプ大統領が日本車の輸入関税を引き上げる可能性を示唆していますが、ブリヂストンはタイヤ世界首位で、日本車だけでなく、米国車にも使われるのでターゲットになりにくいと考えられます。

リーマン・ショック時に米金融株を買う

三菱UFJフィナンシャル・グループも高収益の維持が期待されます。三菱UFJはメガバンクの中でも利ざや(貸出金利と預金金利の差)の厚い海外で与信が拡大してしており、業務の多角化(信託・証券・リース・消費者金融など)も進んでいます。日銀の金融緩和の長期化で国内では銀行業の利ざや縮小が続き、特に国内業務に特化した地方銀行は生き残りが難しくなるでしょうが、三菱UFJはそうしたリスクは小さいと思われます。

バフェット氏は、リーマン・ショックの時に過度に売られた米国の金融株を買い、大きなリターンを得ています。収益基盤がしっかりしている割に、株価が割安な日本のメガバンクも投資基準にかなうのではないかと、私は考えます。

そしてJR東日本です。バフェット氏はインフラを支配する企業に関心を持っています。日本でいうと、この分野で圧倒的な強みを持つのがJR東日本です。インバウンド(訪日外国人)ブームの恩恵で、新幹線や観光列車、関連ビジネス(ホテルなど)の需要が拡大しています。

私はJR東日本は事実上、日本で最強の不動産会社であると考えています。都心部を中心に日本の不動産価格はJRの駅周辺が一番高く、遠ざかるほど安くなる構造です。JR東日本も駅周辺に持つ鉄道用地を不動産事業に転換することで利益を拡大してきました。同社の有価証券報告書によると、2017年3月末時点で賃貸不動産の含み益が1兆3030億円もあります。

ハゲタカファンドに似た投資スタイルも

同社は有利な立地を生かした小売業やカード事業でも高い競争力を持っています。成長率は高くないですが、安定的に成長していくと予想します。

最後にKDDIです。同社は携帯電話事業の競争激化懸念で株価は割安です。ただし、KDDIは世界景気に影響されずに安定成長を続け、18年3月期まで16期連続の増配を達成しています。様々なIT(情報技術)サービスも手がけており、これからも安定成長を維持していくと予想しています。

一口に「バフェット流」といっても若い無名の頃と、年を取り有名になった後では、投資のやり方がやや異なります。若い頃はディープ・バリュー(激安)株を買って、その後の急激な値上がりで稼ぐ投資スタイルが見られました。今でいう「ハゲタカファンド」に少しだけ似たようなところがあったのです。

一方、年を経て有名になり、巨額の資金を動かすようになってからは安定的に成長する株をより重視するようになりました。個人投資家の皆さんもバフェット氏の投資スタイルを参考にしながら、銘柄発掘に取り組んでみてはいかがでしょうか。

プロのポートフォリオは運用に精通したプロが独自の視点で個人投資家に語りかけるコラムで、原則火曜日掲載です。
窪田真之
 楽天証券経済研究所所長兼チーフ・ストラテジスト。1961年生まれ。84年慶応義塾大学経済学部卒業後、住友銀行(当時)入行。99年大和住銀投信投資顧問日本株シニア・ファンドマネジャー。2014年楽天証券経済研究所チーフ・ストラテジスト、15年所長。大和住銀では日本株運用歴25年のファンドマネジャーとして活躍した。