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秋山竜次・くっきー… 芸人のアートイベントが大盛況

2018/6/9

 絵画や写真など、芸人によるアート活動や展覧会が活発化している。「渡辺直美展 Naomi’s Party」(2016年7月)や、秋山竜次(ロバート)による「東京クリエイターズ・ファイル祭」(17年4月)などが代表例。いずれも大盛況で、その後全国を巡回しているのも特徴だ。

パルコミュージアム(東京都豊島区)で開催された「東京クリエイターズ・ファイル祭」の完全版。前回が全国10都市・22万人超、今回で累計25万人を動員した

 パルコミュージアム(東京・池袋)では今年3月2日から1カ月間、「東京クリエイターズ・ファイル祭」を新たな展示などを加えて「完全版」として再度開催した。企画を手掛けるパルコ・マーケティング担当の高橋賢太郎氏は「1年の間に同じ企画を2回実施したことは当社では前例がない。地方からの引き合いも強く、前回は10都市を回りました」と語る。

 高橋氏はもともと、ロバート秋山が様々な架空のキャラクターになりきった写真を展示する企画「クリエイターズ・ファイル」のファンで、約2年前に展覧会をやりたいと提案。よしもとクリエイティブ・エージェンシーと制作会社CTBと共同でプロジェクトを進めることになった。

 パルコミュージアムは年間約20本の展覧会を開催しているが、「東京クリエイターズ・ファイル祭」で驚いたのは集客数。「前回は24日間で来場者は4万5000人でした。有料入場だと通常1万人いけば合格ですが、過去のデータを見ても断トツでした」。20代女性というパルコのメインターゲットとファン層が合致したこともあり、開催期間はレストランフロアの売り上げが10%増えるなど、ビルの施設利用にもつながったそうだ。

 事務所側でも取り組みが始まっている。吉本興業では3年前、マネジメントの部署にアートセクションを新設した。

 きっかけは、14年から吉本が企画・運営している「京都国際映画祭」。吉本にはジミー大西(絵画)をはじめ、西野亮廣(絵本)や鉄拳(パラパラ漫画)ら、本格的なアートの才能を持つ人が以前から一定数いる。「所属芸人全体の情報を改めて吸い上げたら、絵画のほかにもイラストや編み物、段ボールアートなど、思った以上にお笑い以外の才能を持つ人がたくさんいたんです」と話すのは、アートセクションの杉本裕一氏。

展覧会「よしもと美術館」は16年に初めて京都で開催して以降、沖縄や東京でも好評を得ている

 それを生かして展覧会としてまとめたのが、16年7月に京都の美術館で開催した「どやさ! よしもと美術館」だ。実際にやってみて感じたことは、アートと芸人とは相性がいいということ。「作品だけでなく、そこに込めたメッセージやコンセプトに一ひねりあったり、ワークショップをしてもしゃべりが巧だったり。自己プロデュースにたけていて、世界観を持っているのも強みだと思います」(杉本氏)

 吉本では才能を発掘して育てる一環で、自由が丘グリーンホールの一室をギャラリースペースとして利用している。くっきー(野性爆弾)が最初に個展を開いたほか、若手芸人の「手帳アート展」なども実施してきた。「今は才能を集約して一つのイベントに落とし込むなど、システムづくりに集中している段階。いずれビジネスにできれば。所属芸人は6000人もおり、可能性はあると思います」(杉本氏)

 意外性と楽しさが強み。集客が見込める新しいパッケージとして、芸人×アートのイベントは今後も増えてきそうだ。

(「日経エンタテインメント」5月号の記事を再構成 文/内藤悦子)

[日経MJ2018年5月18日付]

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